名古屋のデパートの屋上には、現存する日本最古の屋上観覧車があります。
高さ12m、直径10m、9基のゴンドラを備えた昭和レトロな観覧車。20年前に営業終了していますが、現在も保存・展示されています。
オリエンタルビル(名古屋栄三越)

名古屋駅から地下鉄東山線で2駅。愛知県名古屋市の栄にやってきました。久屋大通沿いには大型百貨店が並んでおり、ここが中京圏の商業の中心地であることを実感します。
その中で、今回訪れるのは「名古屋栄三越」です。

1954年(昭和29年)に開店した「オリエンタル中村百貨店」は、当初は地上3階建てで営業していましたが、2年後には地上8階建てに増築されます。
1980年(昭和55年)には「名古屋三越百貨店」へと改称し、松坂屋、丸栄、名鉄百貨店とともに「4M」と呼ばれ、黄金時代を築き上げました。
・名古屋栄三越(旧オリエンタル中村百貨店) 1954~現在
・松坂屋名古屋店 1910~現在
・名鉄百貨店本店 1954~現在
・丸栄 1943~2018
※「ジェイアール名古屋タカシマヤ」開業と「丸栄」閉店により、現在は「3M1T」とも称される。


そんな地域のランドマークとなっている老舗デパートの屋上には、約70年に製造された屋上観覧車が現在も残っています。
現存する日本最古の屋上観覧車

1956年(昭和31年)に登場した「オリエンタルビル屋上観覧車」は、地上7階建てへの増築工事が行われた際に ”2代目観覧車” として誕生しました。
高度経済成長期には、屋上遊園地のシンボルとして多くの人々で賑わい、およそ半世紀にわたって稼働してきましたが、2005年に営業を終了します。

利用者の減少や設備の老朽化、安全性の問題などから営業終了となったわけですが、観覧車はそのまま屋上に残されます。
2007年には、日本国内に現存する最古の屋上観覧車として 国の登録有形文化財 に指定されました。

屋上遊園地のアトラクションが保存展示されるのは大変珍しいことですが、それだけではありません。なんと 動態保存 されているのです。
機械の維持のために定期的に回転されており、乗ることは叶いませんが、動いているところは見られるのです。



ゴンドラのコンパクトなサイズ感や、乗り場の低い天井などは、まさに昭和30年代の屋上遊園地のリアルな様子を現代に伝えています。
観覧車のそばには、かつてのオリエンタル中村百貨店のシンボルであった「カンガルー像」や「鯱を抱えた少年像」も展示されており、その様子はさながら ”デパート屋上遊園地の博物館” です。
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名古屋栄三越の屋上

観覧車以外に目を向けてみると、殺風景な屋上ひろばと老朽化した設備が目につきます。
かつての遊園地の賑わいは消え、新たに屋上庭園が整備されるわけでもなく、時折たばこを吸いに来る人や、観覧車を見学する人がいる程度です。

画像の奥にちらりと映るのは、2026年竣工予定の「ザ・ランドマーク名古屋栄中」です。名古屋市内では、2000年代には名駅エリアでの再開発が活発でしたが、近年は栄エリアでも再開発が進みつつあります。

2019年にはオリエンタルビルの再開発計画が立ち上がりますが、コロナ禍や建設費高騰などの影響により凍結されます。とはいえ建物の老朽化は進んでいますし、いずれ建て替えは行われるでしょう。

8階の屋内に入ると、ほとんど人気のないゲームコーナーがありました。
将来的に建て替えられる予定のためか、ほとんどリニューアルされず古い状態のまま残されており、ディープな雰囲気を感じられる場所になっています。
栄の2つの観覧車

栄エリアにはもう1つの観覧車があります。複合商業施設「サンシャインサカエ」にある「スカイボート」です。
大都会の中心地に2つの観覧車が並ぶ姿は、なかなか印象的な光景です。ちなみに、愛知県は観覧車の数が日本一だったりします。

サンシャインサカエの観覧車がオープンしたのは、奇しくもオリエンタルビル屋上観覧車が営業終了した2005年のこと。まるで ”栄エリアの観覧車のバトンを引き継いだ” かのように、新旧2つの観覧車が並んでいるのです。
訪問日 2025年10月
アクセス・宿泊
HP:公式サイト
交通:栄駅(地下鉄)、栄町駅(名鉄)から地下街で直結
店舗:名古屋三越(三越伊勢丹ホールディングス)
建物:オリエンタルビル
