高知県高知市にある「沢田マンション」は、個人の独学と自力(=DIY)によって造り上げられた集合住宅です。
建物内は見学1や宿泊も可能になっています。
- 見学の際はマナーやルールを守り、住民のプライバシーに十分ご配慮ください。 ↩︎
沢田マンション

JR高知駅から一駅隣の「薊野駅」に降り立ってから13分ほど歩くと、目の前に現れたのは白亜の鉄筋コンクリート建築。
マンションはマンションなのですが、その姿は一般的な集合住宅とは一線を画します。建物が立ち並ぶ市街地の中で、凹凸のあるダイナミックな構造が、一際異彩を放っていました。

麓までやってくると、ダイナミックで複雑な構造がより鮮明になりました。現在の姿は、増改築の繰り返しによって生まれたものです。
天高くそびえ立つ業務用エレベーターは、まるで西洋建築の尖塔や時計塔のような趣があります。塔の付いた建物は、問答無用でカッコいいものです。

建物の名前は「沢田マンション」。香港の九龍城や長崎の軍艦島、さらにはスペインのガウディ建築と並べて称されることのある 高知を代表する迷級建築 です。
階数:地上5階建て(一部は6階)+地下1階
戸数:約70戸
全長:東西におよそ70m

要塞のような建物の中には、現在もおおよそ100人ほどが生活しています。
マンションに泊まる

沢田マンションは住民以外も入ることができ(一部の部屋は店舗や事務所になっている)、さらには見学や 宿泊することもできます。
もちろん楽天トラベルやら旅行会社やらでは取り扱っておらず、HPから直接電話をかけて予約しました。現地に到着してから管理人の方にご挨拶し、お部屋へ案内されます。

当たり前のことを言いますが、部屋に入るとマンションの1室が現れました。
全体的に古さは感じられますが、逆にそれが心地良い……。ホテルステイとは全く異なる、まるで遠い親戚や祖父母の家に泊まりに来たかのような、新鮮なのにどこか懐かしくて安心する ような感覚があります。それを縁もゆかりもない高知で1人で味わっているのは、なんとも不思議なことですが。

ただ見学するだけなら宿泊しなくてもいいのかも知れませんが、やはりお金を払って、じっくりと空間を過ごす方が、沢田マンションを味わい尽くすことができるでしょう。
建設の歴史



沢田マンションを造ったのは、沢田嘉農さん・裕江さんご夫婦。もともとは建て売り住宅の分譲やアパート経営などを手掛けてましたが、「人間として、どこまでやれるか試したい」「10階建て、100世帯のマンションを作ろう」という思いから建設に踏み切ります。
1971年(昭和46年)に第一工事が始まり、約2年後には4階建て24戸のマンションが誕生します。
1974年(昭和49年)には第二期工事が始まり、地上5階建て、地下1階(地下駐車場)の規模に達します。その後も増改築が繰り返され、1985年頃にはほとんど現在の姿になりました。


自由奔放に建てられたようにも見えますが、実は住む人の暮らしを徹底的に考えられています。
建物側面にはスロープがあり、なんと車で直接2階や3階に行けるようになっています。重い荷物や大型家具などを運ぶこともでき、まさに究極のバリアフリーと言えるでしょう。
ここでちょっと本の紹介。
表紙をクリックすると、楽天市場に移ります。
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屋上農園



屋上に来てみると、なんと動物がいました。
家庭菜園というよりは、ちょっとした農場のようになっている屋上庭園。畑では野菜や果物が育てられ、豚や鶏、うさぎが飼育されています。

この屋上庭園は、マンションの断熱効果を高めるために造られました。
21世紀に入ってからはエコロジーや屋上緑化が叫ばれるようになりましたが、その何十年も前から緑化してきた沢田マンションには先見の明があります。屋上全体を土で覆い、作物を育て始め、動物を飼い、さらには

池まで造ってしまって……。今はちょっと理解不能ですが、やがて時代が追いつくかもしれないですね。
違法建築だが名建築

沢田マンションは、厳密には建築基準法上の 建築確認を取っていない ”違法建築” です。
設計図は沢田嘉農さんの「頭の中」にあるのですが、これは比喩ではなく、本当に公式な設計図が書かれていないのです。

しかし建設から半世紀近く経った今も、多くの住人が生活しているということが、何よりも建物の堅牢さを物語っていることでしょう。ネットやメディアでも度々取り上げられており、高知の迷建築かつ名建築として広く愛されています。

その日の夜は、30分ほど歩いた場所にある高知蔦屋書店で夕食と夜カフェをしてから、部屋に戻りました。
寝る前にふと本棚を見ると、「沢田マンション物語」という本が置かれてました。2002年に出版されたかなり古い1冊ですが、豪快な建設エピソードから沢田喜納さんの人生哲学まで紹介されており、寝る間も惜しんで夢中になって読み進めたのでした。
訪問日 2022年12月
アクセス・宿泊
HP:公式サイト
交通:JR薊野駅から徒歩13分
予約:上記の公式サイトよりお問い合わせください。
ふるさと納税
※楽天市場 ふるさと納税 へ移動します。
高知とさでんの旅



