寝台特急サンライズエクスプレスには全部で118室×2編成の客室が用意されていますが、その頂点にあたるのが A寝台1人用個室「シングルデラックス」です。
わずか6室×2編成の客室は、現在の鉄道の旅における “庶民の憧れの星” となっています。
東京から出雲市へ、およそ12時間の旅


年の瀬も迫る12月末。寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」は普段から高い乗車率を誇りますが、この日のホームはさらに特別な活気で満ちてました。

小さな子供連れや、若いグループ客、記念撮影を楽しむ老夫婦…。高速バスよりは高いが、新幹線や飛行機よりは安く、そして何よりも “移動そのものが特別な体験” になる寝台特急の魅力は、今や幅広い層から支持されているようです。

21時50分。列車は静かに走り出しました。
個室の扉を閉めれば、そこは自分だけの空間です。

出発してすぐに、新幹線の回送列車と並走します。ちょうど年末年始でフル稼働中の東海道新幹線。のぞみ12本ダイヤの東京駅はパンク状態です。
もう少し寝台特急が増えれば、日本の大動脈の大量輸送にも貢献できると思うのですが…。
運行ダイヤ
| 東京 | 横浜 | 熱海 | 沼津 | 富士 | 静岡 |
| 21:50 | 22:15 | 23:23 | 23:39 | 23:53 | 00:20 |
| 浜松 | 姫路 | 岡山 | ‐ | 倉敷 | 備中高梁 |
| 01:12 | 05:25 | 06:27 | (7分停車) | 06:46 | 07:14 |
| 新見 | 米子 | 安来 | 松江 | 宍道 | 出雲市 |
| 07:43 | 09:05 | 09:16 | 09:33 | 09:47 | 10:00 |
寝台特急「サンライズ出雲」は、東京から出雲市までの953.6 kmを、およそ12時間かけて結びます。
終点の出雲市駅には午前10時に到着するので、ホテルで考えれば、チェックアウト時間ギリギリまで部屋に滞在できるようなイメージです。
A寝台 シングルデラックス:1人用個室

さて、今回乗車している「シングルデラックス」ですが、B寝台が大半を占めるサンライズエクスプレスの中でも わずか6部屋しかないA寝台 の設備となっています。
1か月前の争奪戦を潜り抜けて、なんとか切符を手にすることができました。
A寝台 シングルデラックス:1人用 6部屋
B寝台 サンライズツイン :2人用 4部屋
シングルツイン :1(2)人用 8部屋
シングル :1人用 80部屋
ソロ :1人用 20部屋
指定席 のびのび座席 28席
× 2編成


寝台料金は13,980円です(他に乗車券と特急料金がかかります)。
B寝台のシングル(7,700円)と比較すれば約2倍の価格ですが、「ななつ星」や「四季島」、「瑞風」といった豪華クルーズトレインと比べれば、なかなか現実的な価格ではないでしょうか。
庶民でも、乗ろうと思えば乗ることのできる +α の贅沢体験です。
設備・アメニティ

室内には、広々としたデスクスペース、独立した洗面台、ゆったりとしたシングルベッドが配置されています。シャワールームはA寝台利用者専用のものが用意されており、シャワーカードの争奪戦や順番待ちの必要もありません。
アメニティは、タオルや歯ブラシ、化粧水、固形石鹸やシャンプー類、髭剃りなどが一通り用意されています。何も準備せずに手ぶらで泊まれる、まさに「走るホテル」です。

デスクスペースと余白
普段サンライズに乗るときは、室内を完全消灯してます。そうすることで窓への映り込みが無くなり、夜でも街灯りの車窓を楽しむことができるのです。

しかし、シングルデラックスでは “敢えて少しだけ灯りをつける” ことをおすすめします。
暖色系の灯に照らされた木目調の壁、それに合わせたデザインのデスクとチェア。上等客室でありながらも、どこか優しくて親しみのある内装が、暗闇の中に浮かび上がります。

B寝台では室内のほとんどがベッドで埋め尽くされるのに対し、A寝台ではベッド以外の空間が広々と取られています。
正直に言うと、サンライズ乗車中は寝るときも起きている時もほとんどベッドの上にいるので、広いデスクスペースはあまり必要ありません。しかし、この “ベッド以外の余白” こそが、A寝台らしいゆとりを生み出していると言えるでしょう。


列車は関東平野の最果てへ向けてひたすら走ります。
熱海駅を過ぎ、丹那トンネルを抜けて、深夜の東海道の旅はまだまだ続きます。
ここでちょっと本の紹介。
表紙をクリックすると、楽天市場に移ります。
気になる1冊は見つかりましたか?
selected by レイワレトロ書店
早朝の岡山駅
翌朝、車内放送とともに目を覚ましました。
まだほとんど夜みたいな景色の中、列車は岡山駅に到着します。このまま暖かい室内でごろごろしているか、はたまた寒い外のホームに出るか、悩んだ挙句

結局外に出てきてしまいました。
ここ岡山駅では、四国は高松へ向かう「サンライズ瀬戸」と、山陰は出雲市へ向かう「サンライズ出雲」の切り離し作業が行われます。旅情あふれる瞬間を一目見ようと、多くの人がホームに集まります。

ホーム上では朝早くから売店も営業しています。
駅弁やちょっとしたお土産まで揃っており、ここで朝食を調達することも可能です。


先に「瀬戸」が出発すると、もう間もなく「出雲」の出発時刻です。
朝焼けの山陽路

岡山駅を出発すると、ようやく空が朱く染まり始めました。サンライズエクスプレスの車内から眺める朝焼けの空、新しい一日が始まる瞬間です。

列車は倉敷に到着しました。人口約47万人を誇る岡山県第二の都市で、駅周辺には百貨店やホテル、ショッピングモールなどが建ち並びます。
ここまでは東海道・山陽本線を走ってきましたが、倉敷から先はいよいよ伯備線に入ります。

駅を出ると、先ほどまでの平野部から打って変わって、一気に山間部に入りました。
山陽自動車道や山陽新幹線をくぐると、いよいよ山陽路とも別れです。列車は高梁川に沿って走り、山陰方面へ向けて中国山地を越えていきます。

列車は備中高梁駅に到着しました。次の新見駅までは岡山県で、その先はいよいよ鳥取県です。
冬の山陰地方

ベッドの中で二度寝して、次に起きたのは9時過ぎでした。急峻な山岳地帯を抜けて、ようやく日本海側の平野部に入ります。

どんよりとした空模様は、いかにも冬の日本海側らしい風景です。ところどころに残雪が見えますが、幸いにもこの日は降雪はありませんでした。
列車は米子、松江と大きい駅に停車していきます。このあたりは山陰地方の中でも人口が密集している地域です。

松江を過ぎると、車窓に宍道湖が見えてきました。
シングルデラックスは進行方向左側にありますが、宍道湖が見えるのは右側。部屋の外に出て、通路からの景色を楽しみます。やがて湖が見えなくなると、もうすぐ終点の出雲市です。

サンライズエクスプレスの最も豪華な部屋に泊まるという、憧れが現実となった12時間。しかし列車を降りて、旅先から日常へ戻ると、どこか寂しさを覚えます……。
いつか乗ってみたいと思ったり、切符を手にしてから乗車するまでの日々こそが、 “憧れの星” が最も光り輝いた瞬間なのかもしれませんね。
乗車日:2025年12月
乗車ガイド

運行開始:1998年(平成10年)7月10日
運行区間:東京ー出雲市・高松
公式HP:JRおでかけネット
【東京~九州】下り
寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」
東京21:50 横浜22:15・・・岡山6:27
→新幹線「みずほ601号」
→岡山6:51・・・小倉8:13 博多8:28 熊本9:02 鹿児島中央9:46
【九州~東京】上り
新幹線「みずほ614号」
鹿児島中央19:51 熊本20:35 博多21:09 小倉21:25・・・姫路23:07
→寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」
→姫路23:33・・・横浜6:45 東京7:08
【東京~出雲市】下り
東京21:50 横浜22:15・・・米子9:05 松江9:33 出雲市10:00
【東京~琴平】下り
東京21:50 横浜22:15・・・高松7:27 琴平8:39
【大阪~東京】上り
大阪0:33・・・横浜6:45 東京7:08
利用可能な店舗


- 岡山駅
セブンイレブン ハートイン岡山駅在来線改札内店(6:00〜23:00)2階在来線改札内
セブンイレブン ハートイン岡山駅新幹線改札内店(6:00〜22:00)2階新幹線改札内
おみやげ街道岡山駅瀬戸大橋線(6:25~12:40)在来線8番線ホーム - 姫路駅
えきそば在来線下り店(6:00〜24:00)山陽本線在来線下りホーム
ファミリーマート 姫路駅南店(24時間営業)姫路駅南口から徒歩3分 - 大阪駅
セブンイレブン ハートインJR大阪駅桜橋口内店(5:30〜24:30)1階改札内
アントレマルシェ大阪店(6:00〜24:30)1階改札外 中央コンコース - 高松駅
セブンイレブン Kiosk 高松駅改札口店(6:00〜21:00)1階在来線改札内
車内の設備
A寝台
・シングルデラックス:1人用 6部屋 →こちら
B寝台
・サンライズツイン :2人用 4部屋
・シングルツイン :1(2)人用 8部屋
・シングル :1人用 80部屋 →こちら
・ソロ :1人用 20部屋 →こちら(上段)
→こちら(下段)
指定席
・のびのび座席 :28席
共用設備
・シャワー
・自動販売機
・ミニラウンジ
・トイレ、洗面台
※各情報は2026年現在のものです。

