ボックス席の各駅停車に揺られて、車窓からは美しい自然が広がる。誰もいない秘境駅もいいですが、昔ながらの商店街を散策したり、古いお寺を訪ねてみると、沿線の魅力にどっぷり浸かることができます。
途中下車をしながら目的地を目指す。ここは、ローカル列車旅の聖地です。
南信州の歓楽街
岡谷 13:30
飯田線の起点は辰野駅ですが、ほとんどの列車は岡谷駅から発着します。

車内はまあまあな混雑具合。特急あずさからの乗り換え客を待って、ようやく出発します。
広々とした諏訪盆地から、徐々に山間部へと分け入っていく感じ。この謎の一体感も、列車旅ならではの楽しみです。
辰野 13:41

辰野駅に到着するとほとんどの乗客が降り、車内は一気にガラガラになります。
列車は行き違いのため数分間停車。ホームに降りてみると、広い駅構内と駅周辺の市街地が見られました。ここも、かつては鉄道の町だったのでしょう。

対向列車と行き違い、そろそろ出発の時刻です。
ボックス席を独り占めして、いよいよローカル線の旅の始まりです。

伊那市 14:17 / 15:39
30分ほど乗車して、伊那市駅でさっそく途中下車します。

なるほど、伊那市はレトロなんですね。
ここで降りた理由は、中心市街地のアーケード商店街を散策したかったから。それでは街に繰り出しましょう。

伊那市は、南信州 伊那谷の北部にある人口6.3万人の都市。
メインストリートの商店街は期待通りにノスタルジックですが、その先の細い裏路地にも飲食店がびっしり並んでいるのは驚きです。
実は伊那市は、人口あたりの飲食店数が日本で2番目に多いと謂われた街。その真偽はともかくとして、確かにディープで昭和レトロな古い飲食店が多いです。少なくとも、南信州で随一の歓楽街であることは間違いないでしょう。


伊那谷名物のソースカツ丼をいただいた後に、再び列車旅の始まりです。
南アルプスと河岸段丘と田切

南信州の伊那谷は、東の南アルプスと西の中央アルプスと3000m級の山脈に挟まれたエリア。実際には谷ではなく盆地となっており、過酷な環境というよりは、豊かで恵まれた地域という印象を持っています。
交通は、JR飯田線と中央高速自動車道がありますが、長距離輸送はもっぱら高速バスが主役です。



伊那谷の複雑な地形に沿うように、右へ左へ急カーブを繰り返す飯田線。この高低差は、天竜川とその支流が生み出したものです。
諏訪湖から伊那谷へ流れる天竜川は、南北に大規模な河岸段丘を創ります。そこへ流れ込む支流が、東西にいくつもの谷筋を刻みました。これが田切です。
明治から太正にかけて建設された伊那電気鉄道(現在の飯田線)は、田切による激しいアップダウンを避けるようにして造られたのです。

カーブの多さは高速化の妨げとなり、長距離輸送では高速バスに太刀打ちできなくなりました。一方で、右へ左へ移り変わる車窓と列車の遅さは、結果としてローカル線としての魅力を高めたのです。
飯田 17:16
そろそろ暗くなってきた夕暮れ時。列車は沿線随一の都市に到着しました。
本日の列車旅はここまでです。
善光寺だけでは片参り
桜町 8:22

翌朝は、飯田駅の1つお隣の桜町駅からスタートです。
両駅の間はわずか0.8km。場所によっては歩けるほど駅間距離が短く、駅数が多いのも飯田線の特徴の1つです。


国鉄時代の古い電車がやってきました。車内はふっかふかの転換クロスシート。普通列車でありながら贅沢で快適な旅を楽しめます。
ガラガラの車内から眺める雪景色。わずか10分ほどの乗車時間でしたが、まさに至福のひとときでした。
元善光寺 8:33 / 9:24

将来はリニア中央新幹線の駅が近くに造られる元善光寺駅。そんなことを全く感じさせないほど、のどかな駅ですが、リニアができれば鉄道の存在感もぐっと増すことでしょう。
さて、ここにやってきたのは善光寺詣りのためです。


善光寺といえば、長野県長野市にある有名なお寺です。(そもそも長野市は善光寺の門前街から発展した)。
しかし歴史を紐解くと、602年にこの地に「坐光寺」が置かれたのがそもそもの始まり。642年に現在の長野市へ移るとともに、「善光寺」に名を改めます。一方でかつての坐光寺は「元善光寺」と呼ばれるようになったのでした。
「善光寺と元善光寺と両方にお詣りしなければ片詣り」といわれているそうですが、これにてようやく片詣り解消です。
飯田 9:35
特急伊那路


降りしきる雪の中、再び飯田駅へと戻ってきました。
各駅停車の旅はここまで。この先は、いよいよ特急に乗り込みます。
訪問日 2024年2月23-24日
アクセス
起点:辰野駅(長野県辰野町)
終点:豊橋駅(愛知県豊橋市)
距離:195.7km
中心市街地からは少し歩く。駅から徒歩3分の、市内を代表するビジネスホテルの1つ。
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