としまえんの現在|練馬城址公園

2020年8月31日に閉園した「としまえん」は、都心郊外にある遊園地として長年親しまれてきました。

その跡地は再開発されて、1つはハリー・ポッターのテーマパークに、もう1つは「練馬城址公園」に整備されています。

西武鉄道と豊島園駅

パーク開業時に運行したラッピング電車「スタジオツアー東京 エクスプレス」

池袋駅から、西武池袋線の各駅停車へ乗車。沿線の帰宅ラッシュ民に混ざりながら、都心郊外にある行楽地を目指します。

終点が近づくにつれて車内もまばらになり、車内にはゆったりとした雰囲気が広がります。単線の線路を進んで、豊島園駅に到着。ホームに降り立つと “映画の世界” が広がっていました

「ワーナー ブラザース スタジオツアー東京 – メイキング・オブ・ハリー・ポッター」への玄関口に生まれ変わった豊島園駅。オープンに合わせて、映画の世界観にリニューアルされました。

赤を基調とした英国風のデザインには、かつての遊園地の面影はありません。まるで新たに誕生したテーマパークの一部に、完全に組み込まれてしまったかのようです。

「TOSHIMAEN」は駅名(豊島園)を表しているのか、あるいは遊園地(としまえん)を表しているのか。

いや、確かにそこには “遊園地の記憶” がありました。

本物の鉄道駅に展示されているのは、かつて遊園地のアトラクションとして活躍した「模型列車」。ハリー・ポッターの世界観を演出しながらも、しっかりと「としまえん」の記憶を伝えているのです。

1966年デビューのアトラクションは、もはやそこらの鉄道車両よりも保存されるべき存在。

娯楽の町

改札を抜けると、こじんまりとした駅前広場が広がります。ロータリーには飲食店が数店舗並び、左手はテーマパークの入口が口を開けます。

近くの映画館や日帰り温泉、トイザらスの大型店舗などは、かつて遊園地から多角経営に乗り出していた頃の名残です。閉園後の現在も、営業を続けています。

どこか楽しげな行楽地の雰囲気と、立ち並ぶマンション群。日常と非日常の混じり合いです。

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練馬城址公園

2023年5月1日にオープンした練馬城址公園は「ふれあい交流ゾーン」と「花のふれあいゾーン」の2つのエリアからなります。まだ大部分は未整備で、いわば暫定オープンのような状態です。

ふれあい交流ゾーン

かつての遊園地の入園ゲート付近は「ふれあい交流ゾーン」となっています。ここを通り抜けて、まっすぐ進むとハリー・ポッターに通じます。

おそらく、ここを通り過ぎるほとんどの人は、ここが公園であるとは認識せずに、テーマパークのエントランスの一部くらいに思うことでしょう。

現在の公園のメインエリアは、ここから少し離れます。

川の散策ゾーン

離れた2つのエリアを結んでいるのが、石神井川に沿って歩道が続く「川の散策ゾーン」です。

屋内型テーマパークを横目に見ながら進んでいくと、ぱっと目の前に芝生の広場が広がりました。

花のふれあいゾーン

花、というよりは芝生の広場。

ここが「花のふれあいゾーン」。現在の練馬城址公園のメインエリアです。

看板から遊具、トイレに至るまで、全てが新しく綺麗な設備たち。成熟した市街地の中にぽっかり空いた緑の空間。なかなか気持ちのいい公園です。

それにしても、なぜ遊園地は閉園となったのでしょうか。なぜ公園が造られたのでしょうか。ここで時計の針を 2020年8月 へ戻します。

ほとんどがまだ未整備の練馬城址公園。

としまえん

2020年8月31日。

世間が外出自粛とGO TO キャンペーンでゆれ動いた あの夏。「としまえん」は94年の歴史に幕を閉じます。その背景には、都の政策と環境の変化がありました。

都の防災公園計画

さらに遡ること63年前。都は「練間城址公園」の整備計画を打ち立てます。その建設予定地とされたのが「としまえん」です。

長らく計画に目立った動きはありませんでしたが、事態が変わったのが、2011年の東日本大震災。大規模災害時の避難場所として、防災公園の整備が進められることとなったのです。

他にもワーナー・ブラザースによるエンターテイメント施設の計画が浮上したり、西武園ゆうえんちへの経営資源の集中が行われたり、コロナ禍による打撃を受けたりと、めまぐるしく環境が変化する中で、とうとう「としまえん」の閉園が決まったのです。

遊園地
ホーム > レジャーブーム高速道路から見えた観覧車、屋内のメリーゴーランド、闇夜に輝く空中ブランコ。日本各地にある遊園地やテーマパークをめぐります。

アトラクションの現在

閉園した後も、一部のアトラクションは、他の遊園地で第二の人生を歩んでいます。

コークスクリュー(左上)とミニサイクロン(右上)は八木山ベニーランドに、チャレンジトレイン(右上)は西武園ゆうえんちにそれぞれ移設されました。八景島シーパラダイスに移設されたものもあります。その一方で、未だに倉庫に眠ったままのアトラクションも存在します。

機械遺産認定を受けた「カルーセルエルドラド」

1907年にドイツで誕生し、ニューヨークに渡って、1971年からとしまえんで稼働した「カルーセルエルドラド」。遊園地を代表するアトラクションの1つでした。

2022年に出版された書籍「思い出のとしまえん」では、いつどこで復活するかは、近い内に発表予定 と記されています。しかし、それからだいぶ経つものの未だに発表されてません。

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遊園地の記憶

練馬城址公園の入口付近に戻ってくると、かつてのアトラクションの一部が保存展示されてました。

ここは、エントランス交流ゾーンの一角に整備された「としまえん 思い出コーナー」。人気ローラーコースター「サイクロン」のレールの一部と、ベンチ、鉄柵、案内板等が置かれており、公園ができる前の様子を現在に伝えているのです。

1965年に運行開始した「サイクロン」。最後まで、遊園地を代表するアトラクションとして君臨した。

今はまだ “遊園地の跡地にできた施設” として言われているのも、やがては “この施設ができる前は、遊園地があった” と言われるようになるのでしょうね。

訪問日 2024年8月8日

アクセス

交通:西武豊島線、都営大江戸線 豊島園駅
運営:東京都公園協会
HP:公式サイト

遊園地
この記事を書いた人
Shizu

1997年生まれ。
旅行代理店に勤務する傍ら、
ブログ運営と国内旅行に力を注ぐ。

若者の視点から ”レトロ” を追求しており、各地を巡り紹介する。
ブログは中学生の頃から書き続けているが、文章力はなかなか上がらない。
埼玉で生まれ育ち、大学時代を群馬で過ごして、現在は東京に住む。

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