今では東京近郊に残る遊園地のなかで最大規模となった「よみうりランド」。
山の上に広がるオーソドックスな遊園地でしたが、2016年に「グッジョバ」がオープンしてからはテーマパーク化が進んでいます。
正統派遊園地と企業テーマパークが融合する、「よみうりランド」の現在に迫ります。
正統派遊園地



数多くの遊園地が姿を消して、今や東京近郊に残るのは「西武園ゆうえんち」「よこはまコスモワールド」「あらかわ遊園」「花やしき」「東京ドームシティアトラクションズ」くらいになってしまいました。
丸一日遊べる規模の 普通の遊園地 は「よみうりランド」だけと言っても過言ではありません。
ロープウェイ
キャッチコピーは「空から行けちゃう遊園地」。山の上というロケーションにロープウェイというアクセス手段は、なんとも遊園地らしい遊園地です。


1999年に、京王よみうりランド駅から遊園地までのアクセス手段として開業した「よみうりランド スカイシャトル」。遊覧目的というよりは移動手段としての性格が強く、運賃は安価に設定されています。(大人:片道300円 往復500円)。

急斜面を上り視界がひらけると、眼下に華やかな祝祭空間が広がります。まだ園内に入る前ですが、ある意味最も遊園地の多幸感を感じられるアトラクションと言えるかもしれません。
豊富なアトラクション

多摩丘陵を開発した広大な敷地の中には、数多くのアトラクションを揃います。圧倒的なボリューム感に「1日中 居ても飽きさせないぞ」という気概すら感じます。




オーソドックスな遊園地で見られるアトラクションは一通り揃っており、ないものはありません。
フリーフォール系のタワーは2つ並び、バイキング系のやつは360度回転し、ホールではアシカショーが開催されています。絶叫系も小型ライドも、どちらも充実しています。

観覧車


シンボルの観覧車は高さ59メートル、1周約14分で回ります。ゴンドラからは都心の高層ビル群まで見渡すことができました。
2024年10月にオープンした現在の観覧車は、よみうりランド開園60周年の記念事業の1つとして造られます。建て替えの際には、一時的に新旧2つの観覧車が共存する状態になりました。
遊園地ならではの遊び心と、設備投資を怠らない姿勢の現れですね。
バンディッド

充実したアトラクションの一方で、大型ジェットコースターは「バンディッド」の一強状態です。
1988年に開業した、全長1560m、最高速度110km/hの絶叫マシン。丘陵地帯の広大な敷地を贅沢に使ったコースレイアウトが特徴です。
しかしながら、以前は多くの屋外ジェットコースターがありましたが、子供向けのミニコースター以外は全て消えています。他が充実しているだけに、やや物足りない印象です。
企業のテーマパーク

そんな正統派遊園地にも、テーマパーク化の波が押し寄せます。
2016年にオープンした「グッジョバ」。数々の有名企業がスポンサーとなり、全面的にタイアップしたアトラクションを展開しているエリアです。また、遊園地運営としては三方良しの取り組みにもなっています。
企業 :自社製品の宣伝になる。モノづくりを通して教育・社会貢献を実現。
遊園地:広告収入を得られる。企業の商品のコンテンツ力を活用できる
入園者:新しいアトラクションを楽しめる。
屋内コースター ✕ ダークライド


少ないと思っていたジェットコースターは、ここにいました。
2021年にオープンした「リポビタンロケット☆ルナ」は吊り下げ式の屋内コースター。宇宙空間を駆け抜けて、終盤には屋外へ飛び出します。爽快感と没入感の高い、ハイクオリティなアトラクションです。


「スピンランウェイ」は、屋内空間を回転しながら疾走するジェットコースターです。こちらはキューライン(待機列)にも力を入れていて、館内にはファッションアイテムに囲まれた空間が広がっていました。
このようにグッジョバのジェットコースターは、スリルやスペックを追い求める従来型のジェットコースターとは違う道を進んでいるのです。
企業の商品>キャラクター?
グッジョバエリアの主役はキャラクターではなく、企業の商品です。
キャラクターには流行り廃りがあり、ターゲットも絞られます。遊園地やテーマパークとして成り立つのは、ディズニーとサンリオとジブリくらいでは無いでしょうか。


対して企業の商品は、定番となればそれなりに長く売れ続けます。猛烈なファンは少なくても、認知度は高いです。狭く深くの「キャラクター」に対して、薄く広くの「企業の商品」と言えるでしょう。
ものづくり
グッジョバエリアのコンセプトは「モノづくりが体験できる」です。


日産ブースでは、簡易的な自動車を組み立てて、実際に乗ることができます。大正製薬ブースではラムネを作れたり、日清食品ブースではカップ焼きそばを作れます。充実した体験型コンテンツを備えているのです。
ただし、ここは企業博覧会やミュージアムではなく、あくまでもレジャー施設です。メインは「ライド型アトラクション」であり、「体験型コンテンツ」は併設されているだけに過ぎないのです。

遊園地 ✕ テーマパーク のハイブリッド
正統派遊園地と企業テーマパークが融合した、ハイブリッド・レジャーランド※1。
遊園地は遊園地で豊富なアトラクションを揃えて、また競合する遊園地が数を減らしたことから、その存在価値を高めてきました。テーマパークはテーマパークで高いクオリティのアトラクションを揃えて、また企業を全面に打ち出した唯一無二の空間を創ってきました。
そうした取り組みが功を奏してか、2000年代には50万人ほどだった年間入園者数は、2010年代後半には200万人に迫る勢いにまで回復しています。
※1 ハイブリッド・レジャーランドは、東武動物公園のキャッチコピー。

よみうりランドのV字回復のもう1つの要因が「ジュエルミネーション」の開催です。
もともと遊園地はデートスポットの定番でしたが、そこにイルミネーションスポットとしての価値を加えることで、その地位を取り戻しました。
東京近郊で営業を続ける、普遍的な大遊園地。新たな施策や、テーマパーク要素とのパワーバランスに、今後も注目です。
アクセス
所在地:東京都稲城市矢野口
最寄駅:京王相模原線 京王よみうりランド駅
株式会社よみうりランドが運営する遊園地。
公式サイトはこちらから。

