愛知県名古屋市にある東山公園には、「スカイビュートレイン」という跨座式モノレールが運行されています。
一方で、園内にはもう1つモノレールがあります。
およそ50年以上前に廃線となった「東山公園モノレール」。新交通システムの黎明期に建設された懸垂式モノレール(サフェージュ式)です。
名古屋市交通局協力会 東山公園モノレール

1964年(昭和39年)に開業した「東山公園モノレール」。動物園と植物園のわずか0.5kmを結ぶ短い路線でしたが、地方鉄道法に則った本格的な鉄道路線でした。
当時モノレールは “次世代を担う新たな交通システム” として期待されており、「東山公園モノレール」には サフェージュ式(懸垂式モノレールの1種)の実験線 という役割を課せられます。建設から保守管理までを三菱重工業運営が担い、運営は名古屋市交通局協力会が担いました。

もともと動物園と植物園の間には「おとぎ列車」というミニトレインが運行されていましたが、モノレールが登場すると瞬く間に人気になります。アルミ合金の車体が空を駆ける姿は、まさに未来の乗り物でした。
ところが、開業から時間が経つにつれて利用者が激減します。モノレールという特殊さから維持費も莫大なこともあり、1974年(昭和49年)に廃止となります。わずか10年の運行期間でした。
上野動物園のモノレールとの共通点
都市交通の実験線として造られた動物園のモノレール。維持に莫大な費用がかかることから廃止となる。これって、上野動物園のモノレールとかなり似ていませんか?

東山公園よりも7年ほど早く、1957年(昭和32年)に開業した「東京都交通局上野懸垂線」(通称:上野動物園のモノレール)。“日本初のモノレール” として誕生し、将来の東京都内の交通機関のモデル線として期待されてました。
乗客からの人気も高く、車両設備の更新もしっかりと行われて2019年まで運行を続けます。

一方で、都内の交通機関としてモノレールが普及することはなく、また東京都交通局と日本車輌が開発した 上野式 が他に導入されることもありませんでした。

対する「東山公園モノレール」の サフェージュ式 は、1970年に「湘南モノレール」、1985年に「千葉都市モノレール」で導入されたことから、実験線としては一定の役割を果たしたと言えるでしょう。

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スカイビュートレイン

「東山公園モノレール」の廃止から13年後、東山公園に再びモノレールが現れました。
1987年(昭和62年)に開業した「スカイビュートレイン」は、動物園内で環状運転を行う跨座式モノレール。動物園の開園50周年を記念して登場して、現在も運行を続けています。

「東山公園モノレール」は地方鉄道に基づくれっきとした鉄道だったのに対して、「スカイビュートレイン」は動物園内を走るアトラクションとしての位置づけです。
一方で、5両編成の車両が全長2kmのルートを1周約20分かけて走る姿は、むしろこっちが本物なんじゃないかとも思わせます。



車窓からは、高架ならではの眺望の良さと、園内の動物たちの様子を見ることができました。一方で、既に登場から40年近くが経ち老朽化も進んでいます。近い将来、何かしら動きがあるかもしれません。
もう1つのモノレール
ちなみに、動物園内にある遊園地には「モノレール列車」というアトラクションがあります。

モノレールといえば高架線を走る近未来的な乗り物のイメージがありますが、このアトラクションは地上付近を走行し、蒸気機関車を模した見た目をしています。遊園地のミニSLのような位置づけです。

そもそも、モノレールとは1本のレールを走る鉄道のことであり、必ずしも高い所を通るわけではありません。またその歴史は意外と古く、19世紀頃に登場したモノレールは蒸気機関を動力源にしていました。
名古屋の東山公園は、黎明期・懸垂式・跨座式の3つのモノレールが見られる場所と言えるかもしれませんね。
訪問日 2025年2月22日
アクセス
HP:スカイビュートレイン(東山公園協会)
交通:地下鉄東山線 東山公園駅

