伝統的な優等列車。
大正ロマンな雰囲気の客車列車。
そして何より、煙を吐く力強い蒸気機関車の姿は多くの人々を魅了します。


その一方で、展望車やビュッフェ、さらにはラウンジ付きのグリーン車を繋いだ7両編成の客車列車に乗れば、会津と越後までの古き良き鉄道の旅ができるのです。その移動体験は、まだ新幹線や電車特急が登場する前の、優等列車の旅を彷彿させるものでした。
一等車 二等車 展望車両

ボックス席の普通車
編成の大部分を占める普通車指定席。向かい合わせのボックス席がずらりと並ぶ、もっともスタンダードな客席です。

今ではボックス席=普通列車のイメージが強いですが、昔は、優等列車である急行にもよく見られました。ここにあるのは、普通列車のそれとは違う、長距離を旅するための座席なのです。
グリーン車と展望室
「これが戦前の優等列車の一等席か!」と思わず頷くほどの、優雅で気品ある空間。当列車の最上級客席です。


車両の一番端にある展望室は、かつて東海道・山陽本線で活躍した特別急行列車「つばめ」「はと」のものをイメージしたもの。現代的なガラス張りの空間とSLの姿が好対照です。
ここを利用できるのはグリーン車の乗客だけ。豪華な座席に、普通車の乗客と切り離された空間。これぞ、大正・昭和時代の優等列車「一等席」でしか味わうことのできない移動体験です。たぶん。
展望車両
編成中ほどの4号車は、1両丸々が展望車両になります。列車の中とは思えない、けれども、とても列車らしい景色と空間です。


かつて「寝台特急トワイライトエクスプレス」にあった展望サロンカーや、「映画ドラえもん銀河超特急」に登場した展望車を思い起こします。列車旅への憧れをそのまま具現化させたかのような、そんな場所です。
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四半世紀にわたる運行
運行当初は、普通車(ボックス席)が7両連なるシンプルな編成でした。それが今では、展望車やグリーン車、さらには子供が遊べるスペースまで備えています。
1999年の運行開始から、まもなく四半世紀が経つ「SLばんえつ物語」。C57-180 の経歴から見れば短いですが、観光列車としてはかなりの長期運行です。



観光列車は、「乗ってみたい」と思わせる魅力があってこそ。そこで、元々普通車だった部分を改造して、展望室やグリーン車などを追加してきたのでした。
大正ロマンのレトロな雰囲気を演出している車内。しかし、水回りや乗降扉に目をやると、運行当初から変わらない「国鉄 12系客車」の姿を見ることができました。

会津から越後へ、片道3時間以上の旅路
ここまで車内の様子をお伝えしてきましたが、優等列車は都市と都市を結んでこそ。ということで、この先は会津地方の中心都市から日本海側の鉄道の町までの旅路をご案内します。

ホームに到着すると、はるか先頭に煙が上るのが見えました。
会津盆地(会津若松・喜多方)
会津藩の城下町として栄え、今も多くの歴史的遺構や文化が残る会津若松。福島県内でも4番目に大きい都市です。


15時半に会津若松駅を出発すると、しばらく会津盆地の中を走り続けます。最初の停車駅は喜多方駅。蔵の街やラーメンで有名な、こちらも人気観光地です。
阿賀野川(野沢駅・津川駅)
盆地が終わると、いよいよ険しい山越えです。平地の僅かな山間部では、阿賀野川の流れに寄り沿うように走ります。川沿いにあるいくつもの集落を通りながら、日本海側を目指していきます。



途中の野沢駅と津川駅では10分以上の停車時間があります。
ホームでは、SLの撮影タイム!一方で、機関車では点検や石炭補給、給水が行われます。長距離運行を行う上で欠かせない時間でもあるのです。



越後平野(五泉・新津)
動き出しはゆっくりなSLですが、ひとたび走り出せば、それなりの速度で突き進みます。小さな駅を次々と通過していく様子は、優等列車ならではの爽快感です。



越後平野に入ると、とうとう阿賀野川ともお別れ。山も遠くに離れていきます。西日を浴びながら、日本一の米どころを突き進む蒸気機関車。旅もいよいよラストスパートです。
新潟都市圏に入ると、それ違う列車も増えてきました。18時半、新津駅に到着です。日本海縦貫線の一翼をなす、古くからの鉄道の街です。



時間をかけて長い距離を移動してきた達成感。これこそが優等列車の醍醐味なのかもしれません。
乗車日 2024年6月29日
アクセス
「SLばんえつ物語号」は、東日本旅客鉄道株式会社が運行する観光列車。
公式サイト(のってたのしい列車 SLばんえつ物語)はこちらから。

