大分駅にある地上8階建ての駅ビル「JRおおいたシティ」には、屋上庭園「シティ屋上ひろば」が広がっています。
ミニ鉄道の路線網が広がり、タワーのような高い建物が立ち、橋がかけられ、表参道にお店が立ち並び…。日本最大級の約4500㎡の面積をもつ屋上ひろばは、大人も子供もわくわくする空間でした。
JRおおいたシティ

博多駅から特急ソニックに乗っておよそ2時間。大分駅にやってきました。
2015年に建て替えられた地上8階建て(ホテル部分は21階建て)の駅舎は、レトロと新しさを感じさせるデザインです。

「JRおおいたシティ」と名付けられた巨大な駅ビルには、大分県内のグルメと銘品が集まる「豊後にわさき市場」、JR九州の展開するファッションビル「アミュプラザおおいた」や「JR九州ホテル ブロッサム大分」などが入っています。

シティ屋上ひろば

8階に上がると、”ここは本当に駅の屋上なのか?” と目を疑うような空間が広がりました。
屋上庭園「シティ屋上ひろば」を手掛けたのは、JR九州の車両デザインを数多く担当する水戸岡鋭治氏。2011年オープンの博多駅屋上「つばめの杜ひろば」に続き、ここ大分駅の屋上を作り上げました。

基本的なコンセプトは博多と同じですが、そのスケールと充実度はこちらの方が遥かに上回っています。
神社、お寺、商店街、そして本格的な鉄道。約4,500㎡ の中には、大人も子供も心からわくわくできる要素が詰まっているのです。

「鉄道神社」と「夢かなうぶんぶん堂」

旅の安全を祈る「鉄道神社」は博多駅にもありますが、大分には「表参道・仲見世茶屋」という立派な商店街があります。
古くから参拝の楽しみとされてきた参道での買い物を、駅の屋上で再現してしまったのです。

ここには神社だけでなく、お寺もあります。
屋上ひろばのシンボルである「夢かなうぶんぶん堂」は、高さ14mのお堂です。江戸時代後期の東日本で見られた栄螺堂をモチーフにしており、入口から最上部を経由して出口まで一方通行で進むことができる ”二重螺旋構造” をした特徴的な建築になっています。

お堂の周りには回廊が配置されており、格式高い空間を再現しています。
ぶんぶん堂内には籔内佐斗司作の「七福神」が展示されており、また鉄道神社は豊後一ノ宮・柞原八幡宮の御分霊を受けており、しっかりとその精神を屋上に根付かせているのです。


神社とお寺が同じ敷地内にある光景は、古来の神仏習合を表現しています。
水戸岡氏は「日本の伝統」というテーマを深く掘り下げてこれらの施設を造ったわけですが、その一方で、”塔” のような高い建物が屋上にあり、それを自分の足で登れるというのは、なんだかわくわくした気持ちになります。
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ミニトレイン「くろちゃんぶんぶん号」

博多駅の屋上にもミニ鉄道がありますが、大分には「ミニトレイン くろちゃんぶんぶん号」が走っています。料金は300円で、日中を中心に毎日運行されています。

しかし、ここのすごいところは

なんと複線になっているのです。
厳密には完全に並走する複線ではありませんが、2つのコースの線路が一部で並走しており、その見た目は完全に複線です。


屋上のほぼ全域に張り巡らされた路線網は素晴らしく、池の上を通過したり、お寺の敷地を走ったり、さらにはホテル入口まで伸びる “支線” まで存在します。
そこらへんの遊園地のミニトレインよりよっぽど本格的だと思いましたが、そもそも運行しているのは本物の鉄道会社でした。
「紅白展望台」

アトラクションはミニトレインの1つだけですが(他に観覧車やメリーゴランドがあれば遊園地を名乗れるのに…)、他には子供向けの遊具があります。
赤と白で塗られているのは「紅白展望台」です。
2つの展望台の間には橋がかけられ、ブランコや滑り台などのアスレチックが組み合わされています。一方で展望台でもあるので、大人も安心して登ることができます。“入ってみる、登ってみる” というワクワク感は、大人になっても忘れたくないものです。

「ホテル前ひろば」は、三輪車などが置かれた未就学児用エリアとなっています。
ミニトレインの駅と三輪車の組み合わせは、どこかパークアンドライドを思わせますが、もちろんJR九州が幼少期から鉄道利用を定着させようとしている…わけではないでしょう。
わくわくを創出する屋上空間
JR博多シティの4年後にオープンしたJRおおいたシティの屋上は、その規模と内容を大きくスケールアップさせました。

それは大人が買い物している間に子供を遊ばせるという、かつてのデパート屋上遊園地的な役割を果たすためのものですが、他にもう1つ大きな期待があります。それは、駅に魅力的な空間を創ることで、駅や市街地の価値を高め、ひいては地域活性化や鉄道の利用促進に繋げることです。

そんな地方都市の課題解決や将来へ向けた投資という側面ももちろんありますが、一方で、単に “屋上にこんなものがあったらワクワクするな、面白いな” という純粋な遊び心で突き進んだようにも感じられます。
屋上に鉄道網を広げたい、タワーのような高い建物を立てたい、橋を掛けたい、お店を並べたい。そんな “わくわく” が、本当に実現してしまった。その事実にわくわくするのです。
訪問日 2021年11月

