愛知県名古屋市には、全国的に数少なくなった “デパート屋上遊園地” があります。
存続の危機を乗り越え、2025年3月にリニューアルオープンを果たした “松坂屋名古屋店の屋上” を訪れました。
名古屋のデパート

名古屋駅から地下鉄東山線で2駅の「栄」にやってきました。久屋大通に沿って巨大な百貨店が並んでいて、ここが中京圏の商業の中心地であると強く実感させられます。
栄駅から矢場駅へ向かって歩いていくと、目的のデパートが見えてきました。

1910年(明治43年)に開店した「いとう呉服店」を起源に、100年以上もの歴史を擁する「松坂屋名古屋店」。かつては中京圏最大の売上高を誇り、2014年に「ジェイアール名古屋タカシマヤ」に抜かれてからも、地域を代表する老舗百貨店としての地位に変わりはありません。
屋上遊園

さっそく本館の8階(RF階)へやってくると、扉の向こうに ”なんとも懐かしい屋上空間” が広がっていました。
松坂屋名古屋店にあるデパート屋上遊園地。とくに正式名称などはなく、シンプルに「屋上遊園」や「スカイランド」などと呼ばれています。



1925年(大正14年)に現在の場所に移転オープンした松坂屋名古屋店は、当初は地上6階の建物でした。屋上(7階部分)には遊園地も造られています。
1937年(昭和12年)には名古屋市の汎太平洋博覧会に併せて、大規模な増築が実施されます。屋上(8階部分)の遊園地も拡張されて、こども汽車などの大型遊具が置かれました。現在の屋上遊園地は、この時期に原型が出来上がったと考えられます。

100系新幹線 ミニトレイン

全体的にリニューアルされて綺麗になった屋上ですが、レトロな ”乗り物” の姿は今も健在です。
100系新幹線をモチーフにしたミニトレインは、JR東海のお膝元=名古屋を強く意識させます。ブルーを基調とした屋上で、白地に青帯の東海道新幹線カラーが映えます。

他にもトーマスやアンパンマンなどのキャラクターをモチーフにしたミニトレインが、全部で4つもあります。
キディライドやアーケードゲーム機だけではなく、こうした大型遊具(アトラクション)がしっかりと運行されている様子は、なんとも頼もしいです。
| 立ち入り | 眺望 | 利用状況 | 遊具 |
| 可能 | あまりなし | 遊園地・休憩所 | ミニトレイン、ゲーム機など |
ここでちょっと本の紹介。
表紙をクリックすると、楽天市場に移ります。
気になる1冊は見つかりましたか?
selected by レイワレトロ書店
リニューアルして復活

2024年5月。屋上遊園が一時休園となります。
昭和から平成初期にかけて賑わったデパート屋上遊園地ですが、少子化や施設の老朽化に加えて、防火・耐震基準への対応の難しかったことから、急速にその数を減らしてきました。とうとう中京圏から屋上遊園の姿が消えるのかと、誰もが思いました。
ところが、2025年3月に見事復活を果たしたのです。

リニューアルされた屋上遊園地は、レトロな遊具をしっかりと継承しつつも 現代的で明るくアーティスティックな空間 に生まれ変わりました。
広々とした広場にはクッション性の高い床が採用され、安全性も向上。50m走のトラックや身体を使って遊べる遊具なども追加されました。単に乗り物に乗って楽しむだけでなく、思いっきり体を動かしてみたり、おしゃれで居心地の良い空間で過ごせるようになっているのです。

「文化的な価値の継承」や「家族の学びと成長」をコンセプトに、47年ぶりの全面改装が行われた屋上遊園。運営会社の英断や担当者の努力を思うと、胸が熱くなります。
松坂屋名古屋店

松坂屋名古屋店は、従来型の百貨店である「本館」、文化やライフスタイルに特化した「北館」、トレンドや専門店の「新南館」からなる巨大な百貨店です。2003年から2014年まで売り場面積日本一を誇りました。

かつて名古屋市内では三越、丸栄、名鉄などの百貨店(通称4M)と激しい競争を繰り広げており、それらに対抗すべく、増築に増築を重ねて売り場面積を拡大してきました。
B・C館 1925年(大正14年):核となる建物
D館 1936年(昭和11年):戦前の大規模増築
A・E館 1961,64年(昭和30年代):高度経済成長期の拡張
F館 1971年(昭和46年):最後の増築。以降は別棟にて増床する。
その結果、屋上遊園地のある「本館」は6つもの建物が合体した複雑な構造になってしまい、最も古いところでは築100年を越えるのです。

リニューアルによって鮮やかな復活を遂げた屋上遊園地ですが、一方で その土台となる建物の老朽化 は気になるところです。今後、活発化する再開発の中で、屋上遊園地はどのような変化を迎えるのか、やはり気になるところです。
訪問日 2025年10月
アクセス・宿泊
HP:公式サイト
交通:地下鉄名城線 矢場町駅直結
運営:株式会社大丸松坂屋百貨店

