東京と大阪。世界有数の大都市にそびえるランドマーク。
1950年代(昭和30年代)に建設された2つのタワーは、半世紀を経て、時代や文化の象徴になってます。
二大都市のシンボル


1958年(昭和33年)に建てられた「東京タワー」は高さ333m。エッフェル塔を抜いて当時世界一の高さとなります。
対する「通天閣」は1956年(昭和31年)に竣工したのですが、その高さは103mしかありません。国内第二の都市のシンボルにしては、やや小ぶりに感じます。
ほとんど同じ時期に建てられた2つのタワーですが、両者にはそれぞれ異なる背景があったのです。
通天閣

テレビ電波の発信を目的に建てられた東京タワーと違い、通天閣は観光を目的に建てられました。アンテナっぽいものは付いていますが、電波を飛ばす機能は一切ありません。
初代通天閣が建てられたのは1912年(明治45年)のこと。塔からはロープウェイが発着し、麓には「ルナパーク」という遊園地がありました。戦前の “大大阪時代” を象徴するような、華やかな歓楽街だったのです。

一方の東では、当時娯楽の中心地だった浅草公園六区に「凌雲閣(通称:浅草十二階)」という観光展望塔がました。“東の凌雲閣 西の通天閣” と称され、明治・大正期における日本の高層建築(あるいは二大都市の歓楽街)のシンボルだったのです。
しかし、凌雲閣は1923年(大正12年)に、通天閣は1943年(昭和18年)に姿を消します。
大阪文化の象徴
戦後になると、通天閣の再建計画が動き出します。1956年(昭和31年)には現在の二代目通天閣が完成しました。


通天閣が担うのは大阪という都市のシンボル、というよりはコテコテの大阪文化の象徴と言う方が正しいでしょう。
通天閣を中心とした新世界の風景は、道頓堀と並ぶ大阪の観光名所です。その情緒的な魅力が人々を惹きつけるのか、はたまたインバウンドの影響か、通天閣の入場者数は近年増加しています。

幼少期からずっと関東に住んでいる私にとって、東京タワーは慣れ親しんだ存在だった一方で、通天閣は “謎に満ちた存在” でした。
まず名前が変です。タワーっぽくありません。形状もおかしくて、上に向かって細くなる東京タワーに対して、頭でっかちになっています。両手を広げているような装飾を付け、塔本体には文字が書かれ、内部にはビリケンさんという謎のマスコットがいて…。

未だに違和感は拭えませんが、むしろその違和感こそが人々を惹きつけ、大阪のシンボルとして親しまれ続けている秘訣なのかもしれません。だって高いだけでは、いつか抜かされますから。
アクセス
通天閣は、株式会社通天閣観光が運営する観光展望塔。公式サイトはこちらから。
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東京タワー

通天閣復活から2年後の1958年(昭和33年)。高さ333mの東京タワーが竣工します。当時のビルはせいぜい30mほどの高さだったので、300mという高さがいかに桁外れだったかわかると思います。
建設目的はずばり、関東一円のテレビ電波を飛ばすためです。
テレビ電波と観光

東京タワーができる前は、各局は自前のタワーを建設してテレビ放送を行っていました。それらを集約して、1つのタワーから民法6局+NHKのテレビ電波を飛ばすべく、計画がスタートします。
およそ半世紀にわたって活躍を続けましたが、2013年5月31日に東京スカイツリーへバトンタッチして役目を終えました。

もう1つの重要な役割が観光です。150m地点に「大展望台」、250m地点には「特別展望台」が設置されており、東京観光には外せない超定番スポットになっています。
現在は「メインデッキ」「トップデッキ」と名を改めており、「トップデッキ」はツアー形式での見学となりました。より東京タワーの魅力を感じることのできるように進化しているのです。
昭和時代の象徴
現在も “東京のシンボル” である東京タワーですが、近年は “昭和時代の象徴” としての役割を担うことも増えてきました。

「映画ゴジラシリーズ」で破壊されていた頃の東京タワーは “巨大建造物の象徴” でしたが、映画クレヨンしんちゃんの「オトナ帝国の逆襲」では大阪万博とともに20世紀の象徴として描かれ、クライマックスの舞台となります。「ALWAYS 三丁目の夕日」では、建設中の様子や完成後のシーンなど至るところで印象的に描かれました。
当時を知る世代にとって懐かしいのはもちろん、若者世代にも深く突き刺ささります。
また建設時のエピソードには、今じゃ考えられないような逸話も多く残ります。それらも全て含めて “昭和の象徴” なのです。

現在では都心の超高層ビルも増え、2023年にはついに300mを越える麻布台ヒルズ森jpタワーが開業しました。2027年にはTorch Towerが竣工予定です。
しかし、東京タワーが見えたときの特別な感覚は、これからも変わることはないでしょう。
アクセス
東京タワーは、株式会社TOKYO TOWERが運営する電波塔、観光施設。公式サイトはこちらから。
タワー六兄弟
内藤多仲氏が1950年代から60年代にかけて手掛けた6つの鉄塔をご紹介します。
