水戸芸術館 シンボルタワー|ポストモダンの塔

茨城県水戸市の街の中心にそびえたつ、象徴的なシルエット。

建築家の磯崎新氏が手掛けたタワーは、街のシンボルとして鑑賞するのはもちろん、実際に中に入り、地上100mからの景色を楽しむこともできます。

ポストモダン建築

水戸市制100周年を記念して造られた、高さ100mの「水戸シンボルタワー」。

グネグネとした幾何学的で独特な形状は、1970~90年代に広まった ポストモダン建築 の流れを汲むものです。近代的なモダン建築が否定してきた「象徴性」「遊び心」を、都市の中心に高い塔を打ち建てることで見事に蘇らせました。

近代(モダン)建築:機能性や合理性、効率性を追求
ポストモダン建築:象徴性や装飾の復活

竣工したのは、バブル真っ只中の1990年のこと。他のどの都市のランドマークとも似ていない唯一無二のキャラクターは、どことなく万博の「ミャクミャク」のような、不気味さや生命力、愛らしさすらも感じさせます。

どこかパッとしない北関東の主要都市たちの中で、「水戸」のアイデンティティを必死に打ち出そうとしてる ようにも感じました。

日本最東端の廃墟タワー|望郷の塔(オーロラタワー)
日本本土最東端の地、根室市 納沙布岬。北方領土を間近に望むこの場所に、最果ての地には不釣り合いなほどの超高層建築があります。高さ96mの観光展望塔。現在は廃墟です。バブル期の観光展望塔1987年(昭和62年)に竣工した「笹川記念平和の塔」(...
さっぽろテレビ塔 と 名古屋テレビ塔
1954年に、日本初の集約電波塔として建てられた「名古屋テレビ塔」(高さ180m、展望台90m)。1957年に竣工した「さっぽろテレビ塔」(高さ144m、展望台90m)の、タワーとしての役割と中心市街地との関係を紹介します。
弥彦山パノラマタワー|日本最古の現役回転昇降式展望塔
回転しながらゆっくりと上昇するゴンドラ。眼下に広がる日本海。天に伸びゆく塔。ここは新潟市郊外にある「弥彦山」。レトロな魅力あふれる回転昇降式展望塔は、現存するものでは日本最古のものです。弥彦パノラマタワーに昇るパノラマタワー(右)とクライミ...
瀬戸大橋タワー|1988年製の回転昇降式展望塔
瀬戸大橋をわたって四国に行くときに見える、ひょろりとそびえる高いタワー。瀬戸大橋の開通に併せて開業した観光施設「瀬戸大橋タワー」です。未来的なタワーどこか非日常で、未来的な雰囲気。もっともそれは、40年前の過去から見えたレトロフューチャーで...
西の通天閣 東の東京タワー
東京と大阪。世界有数の大都市にそびえるランドマーク。1950年代(昭和30年代)に建設された2つのタワーは、半世紀を経て、時代や文化の象徴になってます。二大都市のシンボル1958年(昭和33年)に建てられた「東京タワー」は高さ333m。エッ...

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登ることもできるモニュメント

あまりに現実味のない見た目に「え、これ本当に登っていいの?」とためらいますが、麓へ行けばしっかりとしたエントランスがあり、券売機があり、エレベーターがあります。

近未来的な見た目ですが、中身は1990年代の少し古い公共施設であり、地に足のついた展望塔です。

そして実際に登ってみると、”展望台としての機能も擁している塔”、あるいは ”登ることもできるモニュメント” ということに気が付きました。

展望塔とタワー
ホーム > 建築と乗り物タワーとは、垂直方向に細長い構造物のこと。展望、放送、観光など多目的であり、都市のアイデンティティを形成します。天を仰ぎし展望塔。登れば此れ愉快かな。1954年: 名古屋テレビ塔完成。内藤多仲設計の「タワー六兄弟」の...

潜水艦のような展望台

展望塔というのは、高所から景色を眺めるという ”機能” のために造られます。そこには大きな窓が設置され、見渡す限りのパノラマが楽しめます。

しかし、ここはポストモダニズム。景色を眺めるための大きな窓を、否定しました

潜水艦の小窓をのぞき込むかのようにして、地上100mからの景色を眺める。ここでしか味わえない体験です。

丸い額縁に切り取られた水戸の街並みは、まるで一枚の絵のようでした。

常磐地方 水戸の風景

MitoriOの縦軸のさらに先に、茨城県庁が佇む。

南側は、麓には「水戸市民会館」や「京成百貨店」といった中心市街地が広がり、その先には水戸市のシンボル「千波湖」が佇み、さらに奥には高さ116mの「茨城県庁」も見えます。

天気が良ければ「筑波山」まで見渡せ、まさに茨城県を代表する景観です。

北側は、ちょうど中心市街地が終端を迎え、その先には郊外の田園地帯が広がっています。

彼方に見える細い塔は、日立製作所が所有する高さ213.5mの「エレベーター試験塔」です。

常磐線沿線|国道6号
ホーム > 街を旅する > 郊外JR常磐線は、日暮里駅(東京都)から岩沼駅(宮城県)までを結ぶ、全長343.7kmの路線。千葉県北西部の東葛地区から、茨城県の大部分、福島県の浜通りを経由する。【主な沿線自治体】松戸市‐柏市‐土浦市‐石岡市‐...

北の那珂川と南の千波湖に挟まれた、台地の上の中心市街地。そのさらに南側には、バイパス道路を中心に県庁やイオンが並ぶ新たな市街地も形成されています。

このように俯瞰して街の状況が見られることも、地域における展望塔の役割の1つと言えるでしょう。

渋谷スクランブルスクエアの屋上|SHIBUYA SKY
2020年3月31日に惜しまれつつも閉店した「東急百貨店東横店」。数多くの逸話と思い出が残る名物デパートでしたが、なかでも昭和20年代に運行された “空中ケーブルカーひばり号” は、戦後復興期の渋谷を象徴する夢あふれるエピソードとして今もな...
埼玉県の地下鉄|埼玉高速鉄道
日本で地下鉄が運行されているのは、東京、大阪、名古屋、札幌、仙台、横浜、京都、神戸、福岡の9都市とされています。しかし、実は埼玉にも「地下鉄」があることをご存知でしょうか。東京都北区にある赤羽岩淵駅から、埼玉県川口市、旧鳩ヶ谷市を経由してさ...
長野市のデパート屋上|ながの東急百貨店
長野駅前に佇む老舗百貨店。リニューアルされた屋上広場「SORANIWA(ソラニワ)」を訪れました。屋上データ評価ポイント規模 ★★ある程度の広さがある滞在 ★座れる場所が少しある遊戯 なし眺望 ★★長野市街地の景色が見られる※評価に関する詳...
長野市のアーケード商店街|権堂
長野駅から2駅の場所にある、市内唯一の全蓋式のアーケード商店街を訪れました。権堂商店街長野県の県庁所在地である長野市は、古くから善光寺の門前町として栄えてきました。現在の長野市街地は、表参道である「中央通り」(写真左) と 電車道である「長...
長野市の地下鉄(長野電鉄)|市役所前‐権堂‐善光寺下
長野県長野市には「地下鉄」は存在しませんが、まるで地下鉄のような私鉄路線があります。長野から須坂、小布施、信州中野を経由して湯田中へと至る長野電鉄長野線(通称 ながでん)。全長のうち、長野市の中心市街地にあたる約1.6kmの区間は地下を走っ...

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水戸芸術館

奇抜なタワーの土台となっているのが、1990年に開館した「水戸芸術館」です。

美術館、コンサートホール、劇場を備えたこの文化施設は、水戸市による ”文化による街づくり” の一環として建設されました。

バブル期のレジャー施設
ホーム > レジャーブーム1983年の「東京ディズニーランド」「長崎オランダ村」開業は、我が国における本格的なテーマパーク時代の到来を告げるものでした。1990年代の “テーマパーク開業ブーム” の背景にあったのは、国内産業の空洞化と余暇需...

当時はバブル経済の絶頂期であり、地方自治体にも潤沢な財源がありました。企業や地方自治体が文化・芸術活動を支援する “メセナ(Mécénat)” の考えが広がる中で、プロジェクトが始動します。

設計を手掛けたのは、ポストモダン建築の第一人者である磯崎新氏です。

9つの展示室からなる「現代美術ギャラリー」には常設展がなく、現代アートを中心とした企画展が開かれています。

正直アートの世界はよくわからないし、面白さを受け取れないこともあるのですが、個人的にここの展示は刺さるものが多いです。

MitoriO のアイコニック

「京成百貨店」から見た「水戸市民会館」

1990年の「水戸芸術館」開館以来、中心市街地は進化を続けており、「京成百貨店」(2003年)や「水戸市民会館」(2023年)といった大型施設が誕生しています。

中心市街地に隣り合うこれら3つの大型施設は「MitoriO」と名付けられています。

大通り沿いに並ぶ2つの集客施設は、中心市街地らしい洗練された都市景観を生み出しています。しかし、その後ろにすらりと伸びるタワーはやはり奇抜で、アイコニックとしての役割は未だに圧倒的だと言えるでしょう。

訪問日:2025年6月、2022年11月

アクセス・宿泊

HP:水戸芸術館
交通:水戸駅から徒歩20分 泉町一丁目バス停
宿泊:市内の宿泊施設 一覧は こちら から。
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常磐線沿線|国道6号

日立駅前の新都市広場|シビックセンター
茨城県にはポストモダン建築として有名な「つくばセンタービル」がありますが、県北部の「日立市」にも、なんとも興味を惹かれる都市広場がありました。日立駅日立駅のホームに降り立ち、階段を上がると、大きなガラス張りの向こうに太平洋のパノラマが広がり...
土浦ニューウェイ(高架道路)の中心市街地|茨城県土浦市
茨城県南の拠点都市であり、人口約14万人を抱える土浦市。中心市街地はJR土浦駅から西側のおよそ1~2㎞のエリアに広がっており、その上空には高架道路が通っています。つくば万博が生んだ「土浦の首都高」「土浦ニューウェイ(正式名称は土浦高架道路)...
水戸芸術館 シンボルタワー|ポストモダンの塔
茨城県水戸市の街の中心にそびえたつ、象徴的なシルエット。建築家の磯崎新氏が手掛けたタワーは、街のシンボルとして鑑賞するのはもちろん、実際に中に入り、地上100mからの景色を楽しむこともできます。ポストモダン建築水戸市制100周年を記念して造...
水戸の文化的中心市街地|MitoriO
駅から離れた中心市街地に突如現れる、巨大なデパート「京成百貨店」と、2023年にオープンしたばかりの「水戸市民会館」と、謎のタワーがそびえる「水戸芸術館」。3つ合わせて「MitoriO」と名付けられています。国道50号と水戸市街駅前から中心...
土浦高架道の立体商店街|モール505
茨城県土浦市には、まるで立体都市のような商店街があります。土浦高架道路(通称 土浦ニューウェイ)開通とともにオープンした新しいショッピングセンターは、かつて “モール型商業施設の先駆け” として名を馳せます。そして現在は…土浦ニューウェイ常...
松戸のデパート屋上|イトーヨーカドーと旧伊勢丹
千葉県松戸駅前にある、プラーレ松戸(イトーヨーカドー)とキテミテマツド(旧伊勢丹百貨店)。2つの商業施設を巡り、屋上広場と回転展望レストラン跡を訪ねます。屋上データ(プラーレ松戸)評価ポイント規模 ★★ある程度の広さがある滞在 ★座れる場所...
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