兵庫県神戸市須磨区にある「須磨浦展望閣」は、今や全国でも少なくなった 回転展望レストラン を擁する行楽施設です。
1958年(昭和33年)に営業を開始し、ノスタルジックな雰囲気と明石海峡の絶景から、近年じわじわと人気を集めています。
須磨浦展望閣

阪神電車・山陽電車に乗って須磨浦公園駅までやってきました。ここからロープウェイとカーレーターを乗り継いで目的の場所を目指します。
古くから存在する ”お山の上の行楽地” は、公共交通機関がよく整備されているものです。

目的地の「須磨浦展望閣」は、乗り物を降りてすぐのところにありました。
近年のトレンドである木のぬくもりやオープンさを売りにした「○○テラス」とは真反対の、鉄筋コンクリート3階建ての展望施設。風光明媚な須磨浦の眺望を大衆に広めるべく、立派な展望台が建設されたのです。

それでは、1階から順番に見ていきましょう。
1階 ジュークボックス

ここは他のフロアとは繋がっておらず、眺望も無いためか、だいぶ静かな空間となっています。その片隅にポツンと置かれているのが「ジュークボックス」です。
誰もがサブスクリプションで自由に音楽を聴く現代において、100円硬貨を投入して1曲の音楽を聴くというのは、なかなか新鮮な体験です。
大音量・高音質で昭和歌謡が流れ出すと、いつしか周りに人が集まってきました。スマホやイヤホンにはない出来事です。
2階 GAME CENTER

外からの階段を上がって、2階「GAME CENTER」へやってきました。
どこか懐かしさを感じさせる、行楽地によくあるレトロなゲームコーナー。アーケードゲームやキディライド、スペースインベーダーなんかも置かれています。


遊園地のゲームコーナーといえば脇役なイメージですが、須磨浦山上遊園はアトラクションが少ないためか、ここもメイン施設の1つになっているようです。
階段を上った先は、いよいよ回転展望レストランです。
ここでちょっと本の紹介。
表紙をクリックすると、楽天市場に移ります。
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3階 まわる喫茶室 コスモス

いよいよ3階「まわる喫茶室 コスモス」にやってきました。
このフロアは 約55分かけてゆっくりと一回転 しており、席に座りながらにして360度の景色を眺められます。食事やドリンクを楽しみつつ、往年の回転展望レストラン体験ができるのです。

ここでの人気メニューは、シロップをソーダで割りチェリーを乗せた、クラシカルなスタイルの「メロンソーダ」。近年のレトロ喫茶ブームに乗せられて、ついつい注文してしまいました。
喫茶店で過ごす優雅な午後のひととき。人々を乗せた床はゆっくりと回り続けて…

気が付くと「明石海峡大橋」が目に前に広がりました。
回転展望レストランの魅力

1964年の東京オリンピックに合わせて建設された「ホテルニューオータニ」。その最上階に設置された展望レストランが、後に全国のホテルやデパートに設置される ”回転展望レストラン” のパイオニアとされています。
”すべての客に富士山を見てもらいたい” という想いから誕生し、フロアを回転させる技術には戦艦大和の主砲を動かす技術が用いられました。


高度経済成長期には都市型ホテルや山の観光地などに設置されて、レジャーブームの象徴となります。1980年代には「そごう」などの百貨店に設置されて、バブル建築に華を添えました。
しかし施設の老朽化や維持費の高騰から、現在ではほとんどの場所で回転が取りやめられています。そんな中で回転を続ける須磨浦展望閣は、大変貴重な存在なのです。
RF階 屋上展望台

3階からさらに階段を上がり、遮るもののない360度の景色が広がる屋外空間にやってきました。
中腹へと延びる大規模な構造体は「カーレーター」という乗り物です。ベルトコンベアにゴンドラを載せた構造をしており、“日本一乗り心地が悪い乗り物” としてマニアックな人気を集めています。

反対側には、ミニカーランドやサイクルモノレールなどがある遊園地ゾーンが見えました。その間には観光リフトも繋がっており、楽しい乗り物がいっぱいの行楽地であることを実感します。

ここ数年で一気に数を減らし、今では風前の灯火となっている回転展望レストラン。しかし、その希少性が逆に追い風となったのか、須磨浦展望閣の注目度は徐々に上がっています。
竣工から半世紀以上が経ち、「全ての客席から絶景を楽しんでもらう」だけでなく、「昭和の貴重な遺産を体験する」という新たな魅力で人々を楽しませています。
訪問日 2022年3月
アクセス
HP:公式サイト
交通:須磨浦公園(山陽電車)
運営:山陽電気鉄道株式会社

