マルカンビル大食堂|花巻の復活デパート

1973年(昭和48年)にオープンした「マルカン百貨店」(岩手県花巻市)は、2016年に惜しまれつつも閉店します。

しかし、6階にある デパートの大食堂 は、現在も営業を続けています。

花巻市のデパート「マルカン百貨店」

上町商店街のアーケード沿いに、堂々と構える店舗。

東北地方。
岩手県花巻市の中心市街地にそびえる地上7階建てのビルは、1973年(昭和48年)にオープンした「マルカン百貨店」です。

市内唯一のデパートであり、花巻市のランドマークとして親しまれてきた商業施設。なかでも6階の大食堂は大変な賑わいようで、地方百貨店が苦境にあえぐ中でも、多くの人々を惹きつけてきました。

しかし建物の老朽化には抗えずに2016年に閉店します。

43年間の歴史に幕を下ろした。

ところが、翌2017年に「マルカンビル大食堂」が奇跡の復活を遂げるのです。

大食堂

エレベーターを降りると、暖かな光に包まれた空間が広がりました。

あらゆるメニューが勢揃いした、ずらりと並ぶ食品サンプル。奥には、ワンフロアを埋め尽くす椅子と机が用意されています。どこか暖かみもありながら、高い収容力を擁する機能的な空間でした。

土曜日の13時頃、まさにピークの時間帯。

それにしても驚きなのが、広い店内を埋め尽くすほどの大量のお客さん。正直、来る前はガラガラだと思っていました。

ここは車社会の地方都市、中心市街地のビルの中です。広い駐車場を備えたロードサイト店舗でもなければ、デパートも既に無く、人気観光地でもありません。それにも関わらず、人口8.9万人の花巻市でこれだけの客を集めているのです。

時代に取り残されたレトロ施設かと思いきや、むしろ地方活性化の最先端のようでした。

ナポリかつ

マルカンビル大食堂の看板メニュー「ナポリかつ」と、「夜来香の餃子」。

混雑した店内ですが、それ以上に座席の供給量が多く、すぐに空席にありつけました。それではランチタイムといたしましょう。

名物「ナポリかつ」は税込み1180円!決して安くはありませんが、昨今の物価高とボリューム感を考えれば十分お得です。エンタメ感と満足感と納得感のある逸品でした。

この世の食べたいものを全てかき集めたかのような、豊富なラインナップのメニュー。「ナポリかつ」以外のメニューは非常にリーズナブルで、日常的に利用できる地元民を羨ましく思います。

ファミリーレストラン

観光スポット < 地元民のランチスポット

改めて店内を見渡してみると、95%くらいは地元のお客さんのようでした。老若男女や家族連れが一同に集い、同じ釜の飯を食す姿は、まるで典型的な花巻市民の休日ランチの様子を覗き込んでいるかのようです。

残り5%の観光客はというと、インスタ映えを狙った若い女性というよりは、レトロを追い求める男性1人客の多い印象でした。名物「10段巻きソフトクリーム」を頼み、写真を撮って静かに食べる姿に勝手に共感します。

地元民のための場でありながら、観光客も受け入れる懐の深さ(というより広さ)。謎の一体感すらも感じさせる、ファミリーなレストランです。

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マルカンビル

シンプルかつアーティスティックな物販エリア。

かつて百貨店だった建物は、2017年から「マルカンビル」として営業を開始します。

2階の「おもちゃ美術館」は、2020年にオープン。美術館目当ての家族連れがついでに食堂に足を運ぶのか、あるいは美術館に行くという口実で食堂を訪れるのか。いずれにせよ、ビルの集客に貢献している人気施設です。

1階は商業フロアとなっており、花巻市や岩手の良いものなどを揃えています。

地下1階 スケートボード場
1階 お土産物屋、雑貨屋、駄菓子屋
2階 おもちゃ美術館
6階 マルカンビル大食堂

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マルカンを推したい

1階の店内を見て驚いたのは、マルカンビル大食堂グッズが大量にあること。ただのデパート(それも閉店した)の食堂に、なぜこんなにも多くのグッズが作られているのでしょうか?

帰り際に寄った新花巻駅の売店では、なんとマルカンのソフトクリーム(カップアイス)が売られていました。帰りの新幹線にはアイスは欠かせませんが、まさかマルカン名物の味を楽しめるとは…。

豊富に取り揃えられたマルカングッズを見ると、安易な商業主義に走ったように捉えられますが、いやいやそれはとんでもない!閉店したデパートの食堂を復活させて、耐震工事を行い、建物を維持するのに、どれほど多くの費用がかかったことでしょう。どれほど多くの個人や企業が協力してきたことでしょう。

“残された” のではなく “残そうとした” 。

それを考えると、自分ができることはせいぜい食べることと買うことくらいです。ここは観光客らしく、お土産をたくさん買って帰りましょう。

訪問日 2025年2月15日

アクセス・宿泊

HP:花巻観光協会公式サイト
鉄道:花巻駅(東北本線)/新花巻駅(東北新幹線) 
道路:花巻IC・花巻南IC(東北自動車道) 国道4号線
宿泊:花巻駅周辺の宿泊施設は こちら から。

※楽天トラベルへリンクします

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花巻市の用意する返礼品を、ちょっとだけご紹介します。
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大店舗 ‐MALL‐
この記事を書いた人
Shizu

1997年生まれ。
旅行代理店に勤務する傍ら、
ブログ運営と国内旅行に力を注ぐ。

若者の視点から ”レトロ” を追求しており、各地を巡り紹介する。
ブログは中学生の頃から書き続けているが、文章力はなかなか上がらない。
埼玉で生まれ育ち、大学時代を群馬で過ごして、現在は東京に住む。

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