福岡郊外の廃墟タワー|旧志免鉱業所 竪坑櫓

中心部からのアクセスの良さで知られる福岡空港は、西へわずか3㎞も進めば博多駅に着いてしまいます。では、その反対側には何があるのでしょうか。

空港から東へ4㎞ほど進むと、住宅街の先に、巨大な鉄筋コンクリート剝き出しのタワーが現れました。

志免鉄道記念公園

福岡空港からバスに揺られること15分。「志免鉄道公園」バス停で下車します。

現在の志免町には鉄道が通っていませんが、かつては国鉄勝田線が存在しました。しかし貨物需要の減少に伴い、1985年(昭和60年)に廃線となります。では、当時は何が運ばれていたのかというと ”石炭” です。

鉄道公園から、さっそく廃墟タワーの姿が見えた

この地はかつて「糟屋炭田」と呼ばれる、九州でも有数の石炭産出地でした。

石炭輸送と周辺の参拝客輸送を目的に、1919年(大正8年)に鉄道が開通。そして 1943年(昭和18年)に、高さ47.65mを誇る「竪坑櫓(たてこうやぐら)」が完成します。これは地下約430mの坑道へ人や資材を運ぶための巨大なエレベーター塔であり、志免炭鉱の近代化を象徴するものでした。

イオン本牧 と ベイタウン本牧5番街|バブル期の商業施設の現在
1989年に横浜市中区本牧に開業した「マイカル本牧」。スペイン風の街並みが広がるアーバンリゾート型ショッピングセンターは、折からの好景気により、年間来場者数1500万人を記録します(ディズニーランドを超える)。ところが、アクセスの悪さから徐...
サンライズ瀬戸・出雲と新幹線|東京→博多 B寝台ソロ
ブルートレインの廃止から10年以上が経ちますが、今でも寝台特急を利用して東京と九州を移動することはできます。寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」と新幹線「みずほ」を乗り継げば、深夜22時頃に東京駅を出て翌朝8時半に博多駅にたどり着くことができる...
丸広百貨店川越店の屋上|遊園地「わんぱくランド」閉園後の現在
埼玉県川越市にある丸広百貨店。屋上には人工芝の開放的な広場がありますが、かつてそこには、ノスタルジックな屋上遊園地がありました。丸広百貨店川越店丸広百貨店は、埼玉県内を基盤に店舗を展開しているデパート。その旗艦店として1964年(昭和39年...
ハーヴェストウォークのメリーゴーランド|小山ゆうえんちの現在
小山ゆうえんちは、かつて栃木県小山市に存在した遊園地です。跡地にできた大型商業施設を訪れてみると、どことなく遊園地の雰囲気を感じます。歩いていった先にはメリーゴーランドがありました。おやまゆうえんハーヴェストウォーク2005年に惜しまれつつ...
そごう千葉店の屋上|千葉都市モノレールのひろば
千葉駅前にそびえ立つ巨大百貨店「そごう千葉店」。モノレールが頭上を行き交う「屋上4階」の広場と、現在は立ち入り禁止の「屋上11階」を紹介します。そごう千葉店“世界最大級・日本の新しい百貨店” というキャッチフレーズとともに誕生した。そごうグ...

旧志免鉱業所 竪坑櫓

下が細くて上が太い、アンバランスな外観。

“頭でっかち” のような独特なデザインは、見る者の目を釘付けにします。

どこか機能美を超えたスタイルの良さ を感じさせるのは、逆三角形のシルエットによるものでしょう。最上部が大きく張り出し、中層から下層にかけて壁がなく梁が剝き出しとなっている構造が、その印象を強めているのです。

モダニズム建築
装飾を削ぎ落とした機能主義の極致——昭和初期のモダニズムから現代へと続く、ストイックな建築様式。クラシック建築 ・・・ 西洋的な歴史ある建築様式モダニズム建築 ・・・ 形は機能に従う、効率的なハコポストモダン建築 ・・・ 装飾と遊び心の復活...

その姿は、東京ディズニーシーの「タワー・オブ・テラー」を思い起こさせます。ただし、優雅なレンガ造りのあちらよりも、剥き出しのコンクリートが風化したこちらの方が、よっぽど “テラー” です。

それにしても、なぜ地下深くへと潜るエレベーターに、高い建物が必要とされたのでしょうか。答えは、ブレーキ距離を確保するために、高い位置に巻き上げ機を設置する必要があったから。また滑車のサイズも非常に大きく、それも建物の高層化・巨大化に繋がりました。

もちろん、いきなりエレベーターが急上昇急降下するような超常現象は起きてません。

老朽化と保存

産業遺産であり、戦争遺跡でもある。

この志免鉱業は、旧日本海軍が燃料確保のために保有してました。エネルギー源の確保は、当時の最重要事項であり、戦時中の厳しい物資統制のなかでも建設が進められたのです。

空襲の衝撃にも耐えられるように頑丈に設計されており、竣工から80年以上が経った現在も、その場に立ち続けています。

建物自体は堅牢ですが、壁面のコンクリートは劣化が進んでいます。

剥離による落下の危険があることから、半径40mは立入禁止。のどかな公園として整備されている空間を遮るフェンスと看板に、物々しさを感じます。

津山線(岡山→津山) ボックス席の旅|キハ40
中国山地の山の中を走る「JR津山線」では、ボックス席のキハ40が活躍しています。JR津山線岡山駅と津山駅を結ぶ「JR津山線」。全長58.7㎞に及ぶこの路線は、かつては陰陽連絡を担うルートとして、数々の優等列車が運行されてきました。現在は地域...
長崎浜屋「屋上プレイランド」閉園後の現在|浜屋百貨店
かつて長崎市内には「屋上プレイランド」という、デパートの屋上遊園地がありました。現在は長崎浜屋の屋上は閉鎖されています。一方で、レトロな遊具たちは違う場所で復活を遂げています。長崎市内唯一のデパート「浜屋百貨店」長崎駅前から路面電車に揺られ...
狭山市の中心市街地|武蔵野台地と入間川の河岸段丘
のっぺりとした平坦な土地と隙間無く住宅地化された埼玉県郊外の市街地ですが、狭山市では “ゆとりある広場” と “坂のある風景” が見られました。西武新宿線 狭山市駅西武新宿線の急行に揺られること約50分。埼玉県南西部にある「狭山市駅」にやっ...
北九州モノレール・モダニズム|北九州高速鉄道小倉線
1985年(昭和60年)に開業した「北九州モノレール」は、小倉から企救丘までの全13駅からなる路線。都心と郊外をつなぐ重要な交通インフラとして機能しています。北九州モノレールとは全国には、東京、多摩、千葉、舞浜、湘南、大阪、北九州、沖縄の8...
現代の「武蔵野」は、川越らへんにある ── ふるさとは国道16号
この記事は、郊外で生まれ育った平成世代の綴る「私と武蔵野」のエッセイです。郊外へと押し出される武蔵野「武蔵野」という言葉を聞いて、皆様はどこを思い浮かべるでしょうか。明治期に国木田独歩が名著『武蔵野』で描いたのは、 渋谷 でした。巨大ターミ...

ここでちょっと本の紹介。
表紙をクリックすると、楽天市場に移ります。

気になる1冊は見つかりましたか?
selected by レイワレトロ書店

福岡県糟屋郡志免町

戦後、志免鉱業所は日本国有鉄道の所有となり、1964年(昭和39年)に閉山となりました。多くの炭鉱町が閉山と共に衰退してゆく中で、福岡市に隣接する志免町はベットタウンとして成長を遂げます

福岡市中心部へは多くのバス路線があり、もし鉄道が残っていれば…と思わずにはいられません。乗り込んだバスは、なんと都市高速を経由する便。ハイウェイを走る路線バスという、少し珍しい体験をしながら博多駅へと向かいました。

訪問日 20235

アクセス

HP:公式サイト
交通:「博多駅」―西鉄バス32,33系統など―「志免」 約30~40分
交通:「福岡空港」―西鉄バス5系統―「志免鉄道公園前」 約15分

タイトルとURLをコピーしました