土浦ニューウェイ(高架道路)の中心市街地|茨城県土浦市

中心市街地

茨城県南の拠点都市であり、人口約14万人を抱える土浦市。

中心市街地はJR土浦駅から西側のおよそ1~2㎞のエリアに広がっており、その上空には高架道路が通っています。

つくば万博が生んだ「土浦の首都高」

土浦ニューウェイ(正式名称は土浦高架道路)」とは、JR土浦駅東口から市街地西部(学園大橋付近)へ至る自動車専用道路です。

中心街を貫く全長約3kmに及ぶこの高架道路は、別名「土浦の首都高」とも呼ばれており、既存の道路上空や、川の跡地を活用して建設が進められました。

亀城から高架道路東半分(川口ショッピングモール)、土浦港まで1本の流れのようなものを感じる。

かつて土浦市街の西から霞ケ浦へと流れていた「川口川」は、中世には亀城の堀として、近世には舟運のための水路として活用されてきました。しかし、戦前から戦後にかけて、舟運の衰退や洪水対策のために暗渠化が進められます。

1983年(昭和58年)に道路の建設が始まり、川は完全に姿を消して、そのわずか2年後には高架道路が現れる。そんな経緯も首都高を彷彿させます。

筑波科学博(つくば’85)の影響

それにしても、延長3kmにも及ぶ自動車専用の高架道路は 地方都市のインフラとしてはややオーバースペック に思われます。なぜこれほど立派なインフラがなぜ造られたのか。その答えは、1985年(昭和60年)に開催された筑波科学博にあります。

エキスポ
SF映画のような未来的デザインのパビリオンや最先端技術の展示。日本の豊かさを象徴し、希望に満ちた時代を映し出してきた博覧会は、都市開発やレジャー産業にも大きな影響を与えてきました。

会場へのメインアクセスは、万博会場駅(現在の荒川沖駅)からのシャトルバスが担いましたが、土浦駅からもつくば方面へ至る新たなルート(=高架道路)も造られたのです。開催期間中には高架道経由のシャトルバスも運行され、来場者輸送に大きく貢献しました。

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川口町[高架道路]バス停

高架道路バス停を中心に、ウォーカブルな空間が広がる。

高架道路上には複数のバス停が設けられています。

なかでも 川口町[高架道路]バス停 にはエスカレーター(休止中)も設けられており、遠くから眺めるとまるで鉄道駅のような、大規模な構造になっています。

・地上1階 歩行者空間(ひろば)。川口町バス停(一般道路)
・地上2階 上下線をつなぐコンコース。モール505方面へ繋がる歩行者デッキ。
・地上3階 川口町バス停(高架道路)。

ところが 路線バスは地上の一般道路を経由しており、高架上のバス停はほとんど利用されていません。高架経由によるわずかな時間短縮よりも、地上にあるバス停のほうが利便性が高く、せっかくの設備も宝の持ち腐れになっているのです。

左からNTT東日本土浦ビル、アーバンスクエア土浦ビル、多摩川土浦ビル、土浦セントラルシネマズ。

高架上のバス停に上がると、ビルに囲まれた中心街のど真ん中に、開放感あふれる空間が広がっていました。立入禁止の高速道路に侵入しているかのような(もちろんここは立ち入り可能ですが安全には気をつけてます)、ちょっとした背徳感もあります。

今では役目を失ったバス停看板がポツンと佇むだけですが、もしかしたら違う未来もあったかもしれません。

常磐線 沿線
東京都 日暮里駅から宮城県 岩沼駅までを結ぶ、全長343.7kmの路線。千葉県北西部の東葛地区から、茨城県の大部分、福島県の浜通りを経由する。主な都市は、松戸市・柏市・土浦市・水戸市・日立市・いわき市など。

幻となった「新交通システム計画」

高架道路には、かつてモノレールなどの新交通システムに転用する計画が存在しました。

モノレール モダニズム
コンクリートや鉄骨を用いた機能的で合理的なデザインに、昭和の未来都市やSF映画が描いたノスタルジックな夢を重ね合わせて。モノレールの持つ、革新性と懐かしさが共存する独特な魅力に迫ります。

土浦駅とつくば研究学園都市を結ぶ軌道系交通機関 は1970年代から構想されており、土浦市街の区間ではまず高架道路として造られました。

もし計画が実現していれば、土浦市街地はつくばエリアからの集客も可能となり、県南の拠点都市としてますます発展していたかもしれません。また川口町バス停は、市街地の最寄り駅として機能していたことでしょう。

しかし、この新交通システムの計画は頓挫します。

2006年につくばエクスプレス(TX)が開業し、つくば市は念願の都心直結を果たします。TX沿線には新たなショッピングモールもオープンして、今や土浦市の商圏を脅かす存在にまでなっているのです。

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イトーヨーカドー撤退と星野リゾート進出

土浦市街地にあるもう1つの象徴的な景色が ”駅の目の前にある市役所” です。

JR土浦駅西口にある「ウララ(URALA)」は、行政機関、商業施設、タワーマンションなどが一体となった複合施設。現在は市役所が主なテナントとなっていますが、その外観は明らかにデパートの居抜きです。

1980年代の土浦駅西口は、京成百貨店や丸井デパート、小網屋百貨店が並んでおり、ショッピングモールのモール505もオープンして、県南随一の商業集積地として全盛期を迎えていました。

さらなる近代化を目指して駅前再開発事業がスタートしますが、順調に建設された高架道路とは対照的に、こちらは大幅に遅れます。そごうの計画撤退や、ホテルからマンションへの用途変更などの紆余曲折を経て、オープンしたのは1997年(平成9年)でした。

駅前一等地にオープンした「イトーヨーカドー土浦店」は、既に地盤沈下が進みつつあった中心市街地の起死回生の一手として期待されます。

しかし土浦衰退の流れは止まらず、郊外のバイパス道路沿いやTX沿線への商業の流出が続きます。2013年にイトーヨーカドーが閉店となり、土浦市内のデパートは全て姿を消しました。

もっとも、2017年には「西武筑波店(つくば市)」が閉店しており、茨城県内では「京成百貨店(水戸市)」が残るのみとなっています。土浦がデパートを失ったというよりは ”地方や郊外からデパートが消えている” と言う方が正しいでしょう。

駅前再構築

全盛期と比べて求心力を失った土浦駅ですが、近年では新たな取り組みが進んでいます。

2015年にはイトーヨーカドーが撤退した跡地に「土浦市役所」が入り、コンパクトシティ実現に向けて一歩進みます。2017年には駅前図書館「アルカス土浦」がオープンし、2018年には駅ビル「プレイアトレ土浦」がリニューアルされて、2020年には「星野リゾート BEB5 土浦」がオープンします。

実際に訪れてみると、土浦駅の居心地の良さに驚かされます。ゆったりとしたフードコートやカフェ、さらにはサイクリストの拠点となる施設「りんりんスクエア土浦」や星野リゾートも入り、単なる通過点ではない ”滞在する駅” へと変貌を遂げているのです。

かつての駅前再開発で実現しなかったホテル計画が、およそ20年後に国内屈指のホテルブランド進出によって果され、また ”サイクリング” という新たな地域資源も手に入れた土浦。衰退市街地が挑む地域活性化の今後に注目です。

訪問日 2025年9月6日

アクセス・宿泊

HP:公式サイト
交通:JR土浦駅から徒歩5分
宿泊:土浦市内の宿泊施設 一覧は こちら から。
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中心市街地
この記事を書いた人
Shizu

1997年生まれ。
旅行代理店に勤務する傍ら、
ブログ運営と国内旅行に力を注ぐ。

若者の視点から ”レトロ” を追求しており、各地を巡り紹介する。
ブログは中学生の頃から書き続けているが、文章力はなかなか上がらない。
埼玉で生まれ育ち、大学時代を群馬で過ごして、現在は東京に住む。

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