兵庫県神戸市須磨区にある「須磨浦山上遊園」は、楽しい乗り物がいっぱいの昭和レトロな山の上の行楽地です。
なかでも「カーレーター」は、日本唯一という珍しさと日本一の乗り心地の悪さから、マニアックな人気を集めています。
須磨浦山上遊園

阪神電車・山陽電車に乗って、カラフルな屋根が行楽地ムードを盛り上げる須磨浦公園駅までやってきました。
駅直結のロープウェイ乗り場から “お山の上の行楽地” までは、スムーズに移動できるように整備されています。
須磨浦ロープウェイ

1957年(昭和32年)に開業した「須磨浦ロープウェイ」は、須磨浦公園駅(山麓)から鉢伏山上までを結んでいます。
昭和30年代のレジャーブームとともに登場した “空飛ぶ乗り物” は、須磨浦の絶景遊覧や山上遊園へのメインアクセス手段として、これまで多くの人々に利用されてきました。

高低差180mを一気に登って、山上駅に到着です。
カーレーター:のぼり

ここから須磨浦展望閣までは40mほどの高低差があるのですが、それを結んでいるのが「カーレーター」という乗り物です。
円形の乗り場はリフトのようにも見えますが、地上を動く2人乗りのゴンドラは、遊園地の屋内アトラクションのようにも見えます。

いかにも昔の乗り物らしいコンパクトなゴンドラに乗り込んで、いざ急斜面へ。
ベルトコンベア×ゴンドラ

そもそもカーレーターとは ベルトコンベアの上にゴンドラが載せられ、斜面を昇り降りする という、変わった構造をした乗り物です。
1965年(昭和40年)に「びわ湖バレイ」で登場し、翌1966年(昭和41年)に須磨浦山上遊園に造られました。しかし、その後は全く普及することなく、びわ湖バレイのカーレーターも早々に廃止されてしまったため、全国唯一の乗り物となったのです。

ベルトコンベアに載せられてゆっくりと運ばれるのは、まるで鉱山で採掘された石になったような気分です。椅子付きのエスカレーターか、あるいはディズニーランドのホーンテッドマンションにも似ているかもしれません。

建物の中を走るカーレーターですが、窓の外からの景色は抜群です。海を眺めながら、25度の斜面をグングンと登っていきます。
およそ3分間の乗車時間です。
須磨浦展望閣
無事に到着しました!
山頂には、全国でも珍しくなった回転展望レストランのある「須磨浦展望閣」があります。
3階の「まわる喫茶室 コスモス」でメロンソーダを飲んで、明石海峡大橋の景色を楽しんで、そして

「カーレーター」の巨大な建物をじっくり観察しました。
山の斜面に一直線に建設された全長91mの構造体は、リフトやロープウェイと比べて 無駄にデカい です。それでいて輸送力や速さが特段優れているわけでもないですから、普及しなかったのもよくわかります。
ここでちょっと本の紹介。
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カーレーター:くだり

須磨浦山上遊園を巡って、そろそろ帰路につきます。帰りももちろんカーレーターです。

ジェットコースターのような眺めは迫力満点ですが、もちろん急降下することはなく、一定の速度でゆっくりと下っていきます。
日本一乗り心地の悪い乗り物

ジェットコースターのような急斜面を移動するカーレーターですが、座席は水平をキープしています。
斜面に入るとゴンドラの下側が大きく持ち上がることで水平を保つ構造をしており、また乗降場ではいったんベルトコンベアから外れることで、速度を落として乗り降りを容易にする設計になっています。こうして快適で利用しやすい輸送手段を目指そうとした結果、

あろうことか、乗り心地が最悪になってしまいました。
とくに「くだり」の到着直前では、ゴンドラが水平に戻りつつベルトコンベアから離れるタイミングで凄まじい揺れを引き起こし、思わず座席から投げ出されそうになりました。
ロープ1本にぶら下がる乗り物よりも、こっちの方がスリリングです。
短所を長所に
乗り心地の悪さから全く普及しなかったカーレーター。なぜかエスカレーターなどに置き換えられることもなく、半世紀以上にわたって稼働し続けています。

しかし、普及しなかった故にカーレーターは “ここでしか乗れない乗り物” となり、また乗り心地の悪さは “ここでしかできない体験” となりました。
今や須磨浦山上遊園の代名詞といえる存在です。
訪問日 2022年3月
アクセス
HP:公式サイト
交通:須磨浦公園(山陽電車)
運営:山陽電気鉄道株式会社

