水戸の文化的中心市街地|MitoriO

中心市街地

駅から離れた中心市街地に突如現れる、巨大なデパート「京成百貨店」と、2023年にオープンしたばかりの「水戸市民会館」と、謎のタワーがそびえる「水戸芸術館」。

3つ合わせて「MitoriO」と名付けられています。

国道50号と水戸市街

駅前から中心市街地へ延びる国道50号大通り。

駅ビル「エクセル」と一体となった水戸駅。

上野駅から特急「ひたち」に乗って約70分。茨城県の県庁所在地である「水戸市」にやってきました。

県内最大の都市ではあるものの、人口はたったの26万人。北関東や茨城県の田舎っぽいイメージも相まって、当初はあまり都会的な印象がありませんでした。

そんな水戸の中心市街地は、水戸駅から北西へ2~3㎞までのエリアに広がっています。

南の千波湖と北の那珂川にはさまれた台地の上にコンパクトにまとまった街は、江戸時代に城下町として発展してきました。台地の東端には「水戸城跡」があり、隣には水戸藩の藩校「弘道館」もありあす。

大通り沿いにビルが立ち並ぶ様子は、パブリックイメージよりも都会的。

中心市街地を東西に貫くのは、北関東の象徴ともいえる国道50号。とくに水戸駅前から泉町、大工町までの区間は、関鉄バスや茨城交通の基幹ルートとなっています。

また同区間には、かつて「水戸電気鉄道」という路面電車が存在しました。駅から離れた繁華街を経由しつつ水戸駅と赤塚を結びましたが、1954年(昭和29年)に廃止されています。

京成百貨店

駅からも、京成電鉄沿線からも離れている「京成百貨店」。

かつての電車通りを辿っていると、突然 巨大デパート「京成百貨店」が現れました。

中心市街地にある泉町は、県内有数の商業地。路面電車の廃線後も、商業地として繫栄を極めます。通りを挟んで「水戸京成百貨店(旧)」と「ボンベルタ百貨店」が向かい合い、1970~80年代にかけて激しい競争を繰り広げました。

デパートの屋上
高度経済成長期のデパートの屋上には、メリーゴーランドや観覧車などの本格的な遊具が設置された遊園地がありました。かつての祝祭空間の残り香を求めて、百貨店を中心に様々な商業施設の ”屋上” を訪ねます。

しかし1990年代後半になると徐々に地盤沈下していきます。水戸駅前の大型商業施設や郊外型ショッピングモールなどに客足を奪われ、2003年には「ボンベルタ百貨店」が閉店します。

4階の「サザコーヒー」で、ほっと一息。

起死回生を図るべく、2006年に「京成百貨店(現在)」が、かつてのボンベルタ跡地へ移転して新たにオープンしました。

衰退しつつあった中心市街にできた “地上10階建ての大店舗” を見ると、この街の中心性はまだ “ここ” にあるんだ と言ってるようにも感じられます。昨今の地方百貨店は苦境に立たされていますが、そんな中で茨城県内全域(特に県央・県北地域)から顧客を集める中核店舗として健闘しています。

斜向かいにある「中央ビル」と合わせて、都会的な景観を生んでいる。

2017年には西武筑波店が閉店したことで、茨城県内唯一の百貨店となりました。

MitoriO = 商業×文化×芸術

向かいに立つ「水戸市民会館」。

旧水戸京成百貨店の跡地には、2023年に「水戸市民会館」がオープンしました。

さらにその北側には「水戸芸術館」が並んでおり、中心市街地に3つ大型施設が隣り合った状態になっています。このエリアを MitoriO といいます。

デパートという “商業の核” だけでなく、そこに文化や芸術を融合することで、中心市街地に新たな人の流れを生み出す。国道50号という中心市街地の横軸に対して、新たな縦軸が生まれたのです。

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水戸市民会館

1972年に竣工した「旧水戸市民会館」は、2011年に東日本大震災によって建物が被災します。

移転新築して新たな「水戸市民会館」が造られることが決まり、設計は伊東豊雄氏が担うことになります。「みんなの森 ぎふメディアコスモス」「せんだいメディアテーク」などを手掛けた有名建築家です。

大胆な木製吹き抜け空間の「やぐら広場」

こうして誕生した新たな施設は、県内最大級の2000人を収容するホールの他に、広場やラウンジなどの “自由な空間” も擁しています。デスクスペースで自習する学生や遊び回る子供たちの姿も見られ、サードプレイスとして定着しつつあるようです。

京成百貨店と水戸市民会館はペデストリアンデッキで繋がっている

もちろん、ここでコンサートなどの催し物が開かれれば多くの人々が集うこととなり、その集客効果は、中心市街地での消費活動にも大きな影響を与えることでしょう。

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水戸芸術館

1990年に開館した水戸芸術館は、美術館・コンサートホール・劇場からなる文化施設です。

当時の日本のバブル経済の絶頂期であり、地方自治体にも潤沢な財源がありました。企業や自治体が文化・芸術活動を支援する “メセナ(Mécénat)” の考え方が広まる中で、地方自治体では「文化による街づくり」に力を入れます。

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水戸市では、建物を世界的な建築家である磯崎新氏、初代館長に詩人の谷川俊太郎氏、音楽部門監督に作曲家の高橋悠治氏を起用して、新たな施設を起点とした芸術活動と市街地活性化に取り組みました。

小学校が移転した跡地で建設が進められ、そのシンボルとして高さ100mのタワーが建てられます。グネグネとした独特な形状は、水戸の都市景観に新しい1ページを付け加え、今では都市のランドマークとして唯一無二の存在になっています。

MitoriOの縦軸のさらに先に、茨城県庁が佇む。

国道50号(商業・経済・交通のメインストリート)という「横軸」に、水戸芸術館・市民会館という「文化の縦軸」が交差する水戸市街地。そこには都市としての “奥行き” が感じられたのでした。

訪問日 2025年6月、2022年11月

アクセス・宿泊

HP:MitoriO|水戸市民会館
   MitoriO|水戸芸術館
交通:水戸駅から徒歩20分 泉町一丁目バス停
宿泊:市内の宿泊施設 一覧は こちら から。
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中心市街地
この記事を書いた人
Shizu

1997年生まれ。
旅行代理店に勤務する傍ら、
ブログ運営と国内旅行に力を注ぐ。

若者の視点から ”レトロ” を追求しており、各地を巡り紹介する。
ブログは中学生の頃から書き続けているが、文章力はなかなか上がらない。
埼玉で生まれ育ち、大学時代を群馬で過ごして、現在は東京に住む。

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