ドリームコア(Dreamcore)というインターネット発祥の空間美学を体現する場所として、今ひそかに注目を集めている「養老ランド」。
がらんとした広大な屋内空間に、煌々と輝くレトロなアトラクションや、平成初期のアーケードゲームがたたずむ光景は、訪れる者の “存在しないはずの記憶” を呼び覚まします。
養老ランド

入園料(大人600円、子ども400円)を払って中へ進むと、まるで夢の中に出てくるような光景が目の前に広がりました。
1973年(昭和48年)にオープンした「養老ランド」は、岐阜県養老町にあるちびっこ遊園地。屋外エリアにはレトロな乗り物が並んでおり、楽しく懐かしい空間が広がっていますが、この施設の異様なまでの魅力は屋内エリアに凝縮されています。

屋内遊園地(2階)

一歩足を踏み込むと、存在しないはずの記憶が蘇りました。
がらんとした屋内空間で、煌々と光を放ち、誰もいないのに回り続けるメリーゴーランド。その綺羅びやかなのにどこか寂しい姿に、一瞬にして心を奪われます。
なぜ、これほどまでに空間が広く、そして静謐なのか。その秘密は “遊園地の成り立ち” にありました。



養老ランドの屋内施設は、もともと1972年(昭和47年)に「ヨーローボウル」として営業を開始した全24レーンの巨大なボーリング場でした。
翌年にはボーリング場に併設して、屋外に遊園地がオープンします。それからボーリング場は閉鎖されますが、1996年に屋内メリーゴーランドやゲームコーナーが設けられました。

やけに広い室内空間は、かつてのボーリング場時代の名残だったのです。
この「本来の用途とは異なるものが、巨大な空間に唐突に置かれている」ようなレイアウトこそが、「ドリームコア」的な非現実感や違和感を醸し出す要因になっているのでしょう。
ゲームセンター(1階)

2階のエントランス・屋内遊園地から下へ降りると、1階のゲームコーナーにたどり着きます。
無機質な空間に描かれたポップな絵柄や、平成初期のプリクラ機やアーケード型ゲームたち。1990年代にこの場所が作られてから、まるでタイムカプセルに入れられたかのように、現在まで営業を続けています。


ドリームコアとは
幼少期のおぼろげな記憶か、あるいは夢の中で見たものか。
記憶と映像と音楽がリンクして、特別な感情が呼び起こされる「ドリームコア」。インターネット上では薄気味悪い屋内プールや1990年代のショッピングセンターなどのイメージが頻繁に現れます。

そこでふと考えたのが ドリームコア=ノスタルジックの不気味の谷 説です。
例えば、昭和30年代の街並みや時代の熱気は、リアルに経験した世代にとっては懐かしく、まだ生まれてない世代からしても憧れを抱きます。明治時代や大正時代にはロマンを感じます。

過去の遠い記憶や、自分自身からある程度距離がある(そもそも経験してない)と美しく見える。けれども自身の経験に近づいてくると、ある一定のところで急に不気味に感じる。幼少期に親に連れられた、風邪の夜に夢で見た……。そんなはっきりとはしてないけれど、確実に自分にリンクしている「記憶のズレ」。これこそが、ドリームコアの正体なのです。
養老ランドを訪れるのは初めてでも、もしかしたら、この景色は前にも見たことがあるかもしれません。
ここでちょっと本の紹介。
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2つのメリーゴーランド

園内には2つのメリーゴーランドがあります。
まずは屋内遊園地にあるもの。ホームページ上では「屋内メリー」と書かれています(アトラクションの呼び方が定まりきっていないのも養老ランドの特徴の1つ)。料金は1人200円です。

屋外遊園地にある方は、ホームページ上では「屋外メリー」と記載されています。料金はこちらの方がリーズナブルで、1人100円です。
綺羅びやかな電飾に彩られ、白馬や馬車がならぶ「屋内メリー」。シンプルで無機質ながらも、さまざまな動物が集まる「屋外メリー」。背中にまたがって動き出した瞬間に、ふと幼少期の遊園地の記憶が蘇りました。
訪問日 2025年8月24日
