スターツアーズ と パンギャラティックピザポート|1989年 宇宙の旅へ

1989年(平成元年)にオープンした「スター・ツアーズ」と「パン・ギャラクティック・ピザ・ポート」。そこはどこか平成レトロを感じる、未来宇宙空間でした。

スター・ツアーズ

東京ディズニーランドのトゥモローランドにある『スター・ツアーズ』は、映画『スターウォーズ』の世界を楽しめる人気アトラクションです。

映像に合わせて前後左右に激しくライドが動く、いわゆるフライトシミュレーターとなっており、リアルな宇宙飛行を体験することができます。

建物内に一歩足を踏み入れると、どことなく空港のターミナルのような空間が広がりました。頭上の行き先案内板を見上げれば、これから “乗り物” に乗るんだという実感と期待が高まります。

ゲストは星間旅行会社「スター・ツアーズ社」の主催するツアーに参加して、エキゾチックな惑星エンドアを目指す―――。という以前のバックグラウンドストーリーからは若干変化したものの、さながら交通インフラの旅情は今も健在です。

イオン本牧 と ベイタウン本牧5番街|バブル期の商業施設の現在
1989年に横浜市中区本牧に開業した「マイカル本牧」。スペイン風の街並みが広がるアーバンリゾート型ショッピングセンターは、折からの好景気により、年間来場者数1500万人を記録します(ディズニーランドを超える)。ところが、アクセスの悪さから徐...
サンライズ瀬戸・出雲と新幹線|東京→博多 B寝台ソロ
ブルートレインの廃止から10年以上が経ちますが、今でも寝台特急を利用して東京と九州を移動することはできます。寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」と新幹線「みずほ」を乗り継げば、深夜22時頃に東京駅を出て翌朝8時半に博多駅にたどり着くことができる...
丸広百貨店川越店の屋上|遊園地「わんぱくランド」閉園後の現在
埼玉県川越市にある丸広百貨店。屋上には人工芝の開放的な広場がありますが、かつてそこには、ノスタルジックな屋上遊園地がありました。屋上データ評価ポイント規模 ★★ある程度の広さと席数がある滞在 ★★椅子と机がある遊戯 なし眺望 ★あまりない※...
ハーヴェストウォークのメリーゴーランド|小山ゆうえんちの現在
小山ゆうえんちは、かつて栃木県小山市に存在した遊園地です。跡地にできた大型商業施設を訪れてみると、どことなく遊園地の雰囲気を感じます。歩いていった先にはメリーゴーランドがありました。おやまゆうえんハーヴェストウォーク2005年に惜しまれつつ...
そごう千葉店の屋上|千葉都市モノレールのひろば
千葉駅前にそびえ立つ巨大百貨店「そごう千葉店」。モノレールが頭上を行き交う「屋上4階」の広場と、現在は立ち入り禁止の「屋上11階」を紹介します。屋上データ評価ポイント規模 ★★ある程度の広さがある滞在 ★あまり座れる場所はない遊戯なし眺望 ...

1989年 宇宙の旅へ

東京ディズニーランドのグランドオープンから6年後の1989年(平成元年)。国内ではバブル経済が絶頂を迎え、世界では冷戦終結という時代の転換点に差し掛かる中で、“宇宙解禁” の鮮烈なキャッチフレーズと共に初代『スター・ツアーズ』は登場しました。

本作は1977年から1983年にかけて公開された映画『スターウォーズ』旧三部作を基にしていますが、どちらかというと映画のストーリーの再現よりは、「スター・ツアーズ社」という星間旅行会社による惑星へのツアーという側面が強調されていました。(もっとも、そのツアーは毎回トラブル続きで、まともに目的地に着いた試しはないのですが)。

私が初めて搭乗したのは2000年代の後半。当時はまだ小学生だったこともあり、“造り物” であることは理解しつつも、建築物として確かに存在する建物に入り、アナウンスや映像による旅の案内を受けて、スタースピーダー3000のキャビンに乗り込む一連の流れは、なんともリアルな宇宙旅行体験でした。

また、ちょうどこの頃は新作映画が途絶えていたこともあってか、私にとっては映画よりも「スター・ツアーズ」のストーリーの方が身近にありました。それだけ「スター・ツアーズ」の独自性は強かったのです。

しかし、オープン当初は驚異的な待ち時間を記録したハイテクアトラクションも、末期はずいぶんと閑散としていました。

誰も並んでいない中で、無邪気に動き回り、冗談を喋り続けるロボットたち。奥の搭乗口は閉ざされ、手前の2機のみで稼働するスタースピーダー3000。時代を感じさせる、アナログ感満載の搭乗案内の映像。

バブル期のレジャー施設
ホーム > レジャーブーム1983年の「東京ディズニーランド」「長崎オランダ村」開業は、我が国における本格的なテーマパーク時代の到来を告げるものでした。1990年代の “テーマパーク開業ブーム” の背景にあったのは、国内産業の空洞化と余暇需...

そのどこか寂しげな光景は、1989年の日本人が無邪気に夢見た「すぐそこまで来ている、手の届く輝かしい未来予測図」が、バブル崩壊という現実を経て、どこか醒めた視線を持つ現代の空気感へと軟着陸した、そのギャップの表れだったのかもしれません。

2013年 リニューアル

その後は大規模なリニューアルを経て、2013年に『スター・ツアーズ:ザ・アドベンチャーズ・コンティニュー』へと生まれ変わりました。

計97通りものランダムなストーリーが導入されたことにより、搭乗する度に異なるルートや惑星へと行けるようになり、エンターテイメントとしての完成度や体験の新鮮さが飛躍的に向上したのです。

しかしその一方で、かつてQラインで人間臭く働いていたドロイドたちの多くがリストラされ、ターミナルや交通インフラとしてのリアリティーは薄まりました。ツアーへの参加という設定も無くなり、星間旅行会社「スター・ツアーズ社」の存在感も小さくなっています。

建て替えが進むスペースマウンテン。トゥモローランドも大きく変わりつつある。
デパートの屋上へ出かけよう!|屋上データ評価基準
当ブログに掲載している「屋上データ」について、評価の基準を示します。なお掲載している記事は、日本百貨店協会に加盟するデパートの他にも、ショッピングセンターや駅ビル商業施設などの屋上も取り扱っています。評価はすべて、実際に現地に足を運んで判断...
岩手県北上市の観覧車|アメリカンワールド
国道4号線をひたすら北上し、目的地に着いた頃にはすっかり暗くなっていました。幹線道路沿いで光り続ける商業モールの、だだっ広い駐車場に車を停めます。広い空間にまばらに車が止まり、外は雨が降りしきる中。フロントガラス越しに視線を上げると、ぽつん...
ドライブインの展望レストラン|パーラー白糸の滝
山形県の庄内から国道47号線を走行していると、ふと “ドライブイン” の看板が目に入りました。車を停めて外に出ると、ひんやりとした山の空気に包み込まれます。階段を登って2階のレストランに足を踏み入れると、床から天井まである巨大なガラス窓の向...
JR九州特急・787系の「グリーン個室」|リレーかもめ
JR九州の看板特急である787系。かつては博多ー西鹿児島間の特急「つばめ」として華々しく活躍しましたが、現在も「リレーかもめ」「かささぎ」「きらめき」「にちりん」などで運行され、九州の幅広い特急網を支えています。多くの乗客にとって、787系...
ウエスタンリバー鉄道とビッグサンダーマウンテン|ディズニーランドの鉄道
ディズニーのパークには、船や宇宙船や自動車などの多くの乗り物がありますが、なかでも主役といえるのが “鉄道” です。ここでは、古き良きアメリカの象徴である蒸気機関車(ウエスタンリバー鉄道)と、ローラーコースターとして独自のポジションを築いた...

ここでちょっと本の紹介。
表紙をクリックすると、楽天市場に移ります。

気になる1冊は見つかりましたか?
selected by レイワレトロ書店

パン・ギャラティック・ピザ・ポート

宇宙旅行から帰還して、そのままトゥモローランドの2階のデッキを進んでいくと、ひときわキッチュな魅力を放つ、宇宙人の経営するピザショップに辿り着きます。

ここは銀河に店舗網を拡げている「パン・ギャラティック・ピザ・ポート社」の、記念すべき太陽系1号店。イタリア系宇宙人の店長「トニー・ソラローニ」が、本社の催促に追われながらも今日も健気に営業を続けています。

1989年(平成元年)にスターツアーズとともにオープンしたこのレストランは、大規模なリニューアルを受けることなく、およそ35年以上に渡って営業を続けてます。

頭上では巨大な全自動ピザ製造マシーンが音を立てて稼働し、オリジナルキャラクターが労働に勤しみ、大型ビジョンでは店舗のコマーシャルが延々と流され続ける。「スター・ツアーズ社」が星間旅行会社としてのアイデンティティを喪失した一方で、「パン・ギャラクティック・ピザ・ポート社」はこれでもかというくらい独自性をアピールしています。一度来店すれば、あの哀愁を帯びた独特なメロディーがしばらくは頭から離れないことでしょう。

未来は効率化に進んでいる

人の手を介することなく、一から生地を捏ねてピザを焼き上げる夢の全自動マシーン。1989年に思い描かれた、未来の飲食店の姿です。

しかし実際の未来は、まったく違うものでした。工場で徹底的にコストを削って大量生産された料理が、無駄のない物流で運ばれる。そこにあるのは仰々しいメカや調理人ロボットではなく、極めて静的で合理的なシステムです。今となっては「宇宙の飲食店」というテーマも、どこか古臭く感じます。

テーマパーク
ホーム > レジャーブームテーマパークとは、特定のテーマによって空間全体が演出されたレジャー施設のこと。日本では 1983年に本格的なテーマパークが登場しました。1980年代後半には国内産業の空洞化と余暇需要の拡大を背景として、新たな投資先...

何もかもが効率化へと進む現代において、巨大で複雑なアナログメカが堂々と鎮座している店内。これほど空間と演出にコストを掛けた店舗建築を造るのは、現代ではほぼ不可能でしょうし、メンテナンスして維持するのも相当大変なことでしょう。

しかし、この過剰なまでの演出や、合理的ではないゆえの愛おしい「こだわり」こそがディズニーランドらしさであり、テーマパークの本質でもあります。夢と合理化とのせめぎあいの中で、「パン・ギャラクティック・ピザ・ポート」はどうなるのか。今後の行く末が気になります。

訪問日 2026年5月

アクセス・宿泊

HP:公式サイト
交通:JR京葉線 舞浜駅から徒歩
運営:オリエンタルランド
宿泊:オフィシャルホテルの予約はこちらから
   ※楽天トラベルに移ります

東京ディズニーランド

ウエスタンリバー鉄道とビッグサンダーマウンテン|ディズニーランドの鉄道
ディズニーのパークには、船や宇宙船や自動車などの多くの乗り物がありますが、なかでも主役といえるのが “鉄道” です。ここでは、古き良きアメリカの象徴である蒸気機関車(ウエスタンリバー鉄道)と、ローラーコースターとして独自のポジションを築いた...
イッツ・ア・スモールワールドとドリームコア|怖さと多幸感の秘密
イッツ・ア・スモールワールドは、東京ディズニーランドの開業当初から存在するアトラクションの1つ。その内容は、子どもたちの平和な世界をボートで一周するという穏やかなものですが、なぜかネットで検索すると「怖い」というサジェストが表示されます。巷...
スターツアーズ と パンギャラティックピザポート|1989年 宇宙の旅へ
1989年(平成元年)にオープンした「スター・ツアーズ」と「パン・ギャラクティック・ピザ・ポート」。そこはどこか平成レトロを感じる、未来宇宙空間でした。スター・ツアーズ東京ディズニーランドのトゥモローランドにある『スター・ツアーズ』は、映画...
タイトルとURLをコピーしました