深夜のバイパス、いつもの あの場所
郊外の幹線道路を走っていると、暗闇の向こうに「M」の文字が見えてきました。広い駐車場に車を止めて、明るい店内へ。

昼間の喧騒が嘘のように静まり返ったフロアでは、数人の客がゆっくりと時間を消化しています。昨今のマクドナルドは木目調の落ち着いた内装になっていますが、それでもスタバほどの洗練された雰囲気ではありません。
しかし、その飾り気のない普段着の空気感こそもまた、求めたくなるのです。
平成初期とドリームコア
インターネット上の美学の一つに「ドリームコア(Dreamcore)」というものがあります。
まるで夢の中で見たような、幼少期の懐かしさと非現実的な不気味さが入り混じった風景。そのモチーフとして取り上げられるのは、パステルカラーの住宅街や屋内プール、そして「リニューアル前のオールドマック」です。

平成初期らしい原色のインテリア、チープなプラスチックの質感、ドナルドの微笑み…。
それは家族や学校のような “主役の思い出” ではありません。親に連れられて行った土曜日の昼下がりや、部活帰りの夕暮れ、眠気でぼうっとした旅行からの帰り道などの “日常の断片” です。

ふわっと緩やかに、けれど多くの人が共通の記憶として有している体験。それが現代のフィルターを通したとき、美化され、上書きされ、あるいは欠落して、ドリームコアという幻想的なアートへと昇華されたのでしょう。
子供のいないプレイランド
コーヒーを片手に奥へ進むと、自動扉で隔てられた向こう側に、数組の席と立体遊具が見えました。「プレイプレイス(旧プレイランド)」という、店内併設の子供の遊び場です。
夜も更けているため、すでに子供の姿はありません。場違いながらも席に座ると、ここだけ異常なほどに静まり返っていました。

原色のカラーリングに、秘密基地のような立体構造。シンプルで無機質な店内のタイルと、装飾的で過剰な遊具のデザインが、深夜の照明に照らされています。
一時期、効率化やメンテナンスの観点から姿を消していったこの空間ですが、近年は再びその価値が見直され、また少しづつ増え始めているようです。
ここでちょっと本の紹介。
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普遍性という名の心地よさ
唯一無二のこだわりが詰まった個人店は素晴らしいものですが、一方で、どこにでもあるようなチェーン店の普遍性もまた、現代人にとっては必要です。
均質的で無機質な照明の下で、私たちは「何者でもない自分」に戻る。ただの風景の一部になる。

深夜の幹線道路沿い、ガラス越しに見えるカラフルな遊具。それは、大人になった私たちがふとした瞬間に迷い込む、一番身近な「夢の入り口」なのかもしれません。
