山形県の庄内から国道47号線を走行していると、ふと “ドライブイン” の看板が目に入りました。車を停めて外に出ると、ひんやりとした山の空気に包み込まれます。

階段を登って2階のレストランに足を踏み入れると、床から天井まである巨大なガラス窓の向こうに、一級河川・最上川のパノラマが飛び込んできました。
白糸の滝 ドライブイン

コンビニが普及し、高速道路が伸びたことで、今ではほとんど見かけることのなくなったドライブイン。昭和のモータリゼーションを支えたインフラであり、若者のレジャースポットでもあった “かつての街道の主役” も、現在ではサービスエリアや道の駅にその役割を譲っています。
しかしその一方で、今なお力強く営業を続けている場所もあります。
1967年(昭和42年)にオープンした「白糸の滝ドライブイン」は、山形県を横断する国道47号線沿いに開設されました。現在も庄内平野と内陸部を結ぶ動脈に位置しており、広い駐車場を埋める車の多さからも需要の高さが伺えます。

複数の建物を繋ぎ合わせたかのような建物は、1階にコンビニ、お土産物屋、立ち食いそば、軽食コーナーが並ぶ雑多な佇まい。外に出て、階段を登った2階には「パーラー白糸の滝」というレストランがあります。
全面ガラス張りの外観はスタイリッシュで、綺麗に手入れされていることから、あまり古さを感じません。既にお昼時は過ぎていましたが、ガラス越しに見える店内は多くの客で賑わっているようでした。
パーラー白糸の滝

ドライブインのオープンから3年後、1970年(昭和45年)に「パーラー白糸の滝」は営業を開始します。
もともとは街道を行き交う長距離ドライバーや団体観光客をターゲットにしていましたが、近年のレトロ喫茶ブームによってメディアやSNSで注目を浴びると、この唯一無二の空間を求めて、わざわざ遠方から足を運ぶ人が続出。かくいう私も、都内から1日以上車を走らせてやってきた中の1人です。

円形(九角形?)の店内はコンパクトで、席数はあまり多くありません。モノトーンの床と巨大なガラスの壁に囲まれた、洗練されたモダンな空間に、すらりと並んだ赤いベロアの一脚椅子。都会的な純喫茶でありながらも行楽地の大衆レストランも思わせる、まさに “昭和スタイリッシュ” な世界観です。
強烈なノスタルジーの一方で、ガラス窓は曇り一つないほどきれいに磨かれ、店内には心地よい清潔感が漂います。ここはただの古い店ではなく、現在も第一線で通用する “ちょっと良いレストラン” なのです。

窓側の特等席に座り、足元まで広がるパノラマウィンドウから最上川をゆったりと眺めます。対岸には名勝「白色の滝」も見えますが、それ以上に目を奪われるのが、この雄大で力強い水の流れです。
『五月雨を あつめて早し 最上川』――。
地元の人にとっては見慣れた日常かもしれませんが、県外からの観光客にとっては、みちのくの旅路の特別な瞬間です。
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メニュー

メニューを開くと、「パフェ」や「コーヒー」「プリンアラモード」「サンドウィッチ」といった純喫茶の王道から、「滝バーガー」「最上川フロート」といった観光地っぽいオリジナルメニューまで勢揃い。
ここはお洒落に喫茶タイムを過ごしたいところでしたが、長距離ドライブの果てに肉と米が欲しくなり、本能のまま「生姜焼き定食」をオーダー。

同行者は定番の「ナポリタン」を頼み、さらに「クリームソーダ」も追加して、ようやく色鮮やかな理想のラインナップが完成しました。
しっかり胃袋も満たされ、食後に軽くコーヒーを飲んだら、再び東北ドライブのはじまり。ハンドルを握って、最上川に沿って爽やかに走り出しました。

訪問日 2026年5月
アクセス
HP:公式サイト
交通:JR陸羽西線 高屋駅から車で5分
運営:株式会社白糸の滝ドライブイン
場所:山形県最上郡戸沢村

