熊本県熊本市の郊外にある「熊本市動植物園」。
園内には小さな遊園地があり、新幹線、SL、モノレールが走り回る様子は、さながらプチ鉄道パークです。一方でアトラクションは老朽化が進んでいました。
熊本市動植物園
市内中心部から市電に揺られて「動植物園前」で下車。緑のプロムナードを抜けて、入場口へとやってきました。


1929年(昭和4年)に「熊本動物園」として開業した熊本市動植物園。戦時中には、軍の命令により象の殺処分されるという悲しい出来事があり、そこから童話「かわいそうなぞう」が誕生しました。
1969年(昭和44年)には現在の場所へ移転するとともに、遊園地が併設されます。江津湖のほとりに佇む水辺の動物園は、市民のオアシスです。


園内には、1989年に運行を開始した観覧車をはじめ、メリーゴーランド、コーヒーカップ、空中ブランコなど全部で10の大型遊戯施設と、ゲームコーナーやレンタサイクルがあります。
料金は1人200円!市営ならではの財布に優しい遊園地です。
新幹線さくら



レトロで遊園地らしいアトラクションが集まる中で、ひときわ目についたのが「新幹線さくら」。九州新幹線が全線開業した2011年に登場した、ミニトレインのアトラクションです。
当時熊本市内は “念願の新幹線がやってきた” と大いに沸いていました。そんな市民の期待のもとに走り始めたのです。

いや、そこには ”JR九州の期待” もあったのかもしれません。
遊園地へやってきて、「本物のさくらに乗りたい」と駄々をこねる子供に、困り果てた親。そこへ颯爽と現れるのが、JR九州のオトクな切符。小人料金を低価格に設定することで、動物園から新幹線までスムーズに誘導しています。

とまあ妄想はここらへんにして、さっそくアトラクションに乗りましょう。

まず右手に見えるのがフラミンゴ。さすがは動物園の中の遊園地、リアルな動物たちの車窓です。
それから列車は橋を渡り、チンパンジー島を眺めながら水辺を進んでいくと、

今度は、左手に蒸気機関車を模した「子ども列車(弁慶号)」が現れました。
小さな遊園地に2つのミニトレイン。おそらく、新幹線 vs SL で子どもたちからの熾烈な人気争いを繰り広げていることでしょう。

さらに、頭上からはもう1つライバルが現れます。細い高架線を走る、1両編成の「モノレール」です。
熊本市の動物園の遊園地。どういうわけだか、鉄道系のアトラクションが非常に充実しているのです。
モノレール

子供向けだと思われがちな乗り物系アトラクションですが、「モノレール」は違います。車窓からは動物たちを頭上から間近に眺めることができて、動物目当ての大人も楽しむことができるのです。
立派な高架駅の乗り場へ向かい、動物の絵柄が描かれた単体車両に乗って出発進行!

高いところから見晴らしのよさと、動物との近さと、細い1本のレール上を走るスリル。アトラクションとしての楽しさはモノレールに軍配が上がります。個室でゆっくりとできるのもポイントが高いです。
コース終盤には、再びあの場所へ。

モノレール、新幹線、SLの3つの鉄道が集まる 園内随一の交通の要衝 です!
気分はさながら薩田峠か大山崎。園内に横たわる池のちょうど真ん中あたりで、3路線1通路が橋をかけているのです。
ここでちょっと本の紹介。
表紙をクリックすると、楽天市場に移ります。
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トロッコ潮風号

休憩がてら、レトロな雰囲気のゲームセンターに入ってみました。
館内には小さな子供向けのアーケードゲーム機が並びます。どれも1回10円~100円と、やはりリーズナブルです。さらに奥へと進んでいくと、

なんと「潮風号」を模した、子供向けアーケードゲーム機がありました。
「潮風号」とは、北九州市の門司港レトロ観光線を走るトロッコ列車のこと。しっかりと九州内の鉄道をモチーフとした遊具を置いているあたり、鉄道王国九州のプライドを感じます。
さらに外を見ると、またもや “鉄道” を見つけてしまいました。
300系のぞみ

地中に埋まるかのように置かれていたのは、300系新幹線(を模したミニトレイン)。
おそらく1992年頃から2011年頃まで活躍していたであろうアトラクションの車両が、1編成丸ごと保存されていたのです。

1992年に初代のぞみ号としてデビューした300系新幹線。それまで0系や100系が220km/hで走っていたところを、最高速度270km/hへと大幅にスピードアップした車両です。
一方で、当時の新幹線はまだ博多駅まで。熊本の子どもたちにとって新幹線は遠い存在で、のぞみ号は憧れの的だったことでしょう。
「モノレール」「新幹線さくら」の運行終了

そんなプチ鉄道パーク状態な熊本市動植物園ですが、その姿ももうすぐ見納めかもしれません。
- 運行終了予定
- 「モノレール」2025年9月30日まで
- 「新幹線さくら」2027年まで
1976年に運行を開始した「モノレール」は、登場から45年が経過して老朽化が進んでいます。「新幹線さくら」も車両こそ新しいものの、線路などの設備は老朽化が進んでいます。

動物たちの真上を通るのが見どころであるモノレールですが、その一方で「車両から出る騒音が動物たちに悪影響を与える」という問題も抱えていました。動物へのストレス軽減という観点からも、廃止は既定路線だったのです。

また2029年には、熊本市動植物園が100周年を迎えます。2つのアトラクションが撤去された跡には、新たに「サバンナエリア」がオープンする予定です。

一方で、2029年には新アトラクションが登場予定です。
今までの鉄道系アトラクションの代替となるものになるのか、はたまた全く違うアトラクションとなるのか?そして新幹線さくらの車両は保存展示されるのか?熊本の小さき鉄道たちのゆくえに注目です。
訪問日 2025年3月8日
アクセス・宿泊
交通:熊本市電「動植物園入口」から徒歩10分
運営:熊本市
HP:公式サイト

