小樽駅から路線バスに揺られること20分。終点の「水族館」バス停に降り立ちました。
日本海沿いに佇む小さな港町・祝津(しゅくつ)には、かつての繁栄の面影を残す鰊御殿と、観光客で賑わう水族館、そして観覧車があります。
遊園地「祝津マリンランド」



おたる水族館に併設された遊園地として、1982年(昭和57年)に開園した「祝津マリンランド」。入園料は無料で、冬季は長期休園となります。
訪れたのは8月。夏休み期間ということもあり、園内は家族連れで賑わっていました。僻地のレジャーランドが見せる、束の間の活気です。今回は1人での訪問なので、観覧車だけ乗って早めに撤退することにしましょう。
観覧車


のりもの券3枚(300円)を購入して、さっそく観覧車に乗り込みます。
まず視界に広がるのは、昭和・平成のレトロな遊園地 の風景。空中ブランコやミニ列車、バイキングやスカイサイクルなどの定番アトラクションが並びます。メリーゴーランドが見当たらないと思ったら、老朽化により2018年に撤去されたそうでした。
観覧車をはじめ、園内のアトラクションのほとんどは開園当初から稼働しており、降雪や潮風の吹き荒れる厳しい環境下で維持されているのです。

この日はあいにくの曇り空でしたが、条件が良ければ石狩湾越しに札幌市内のJRタワーまで見渡すことができます。
頂上からの日本海のパノラマは一見の価値があり、祝津に訪れた際には(たとえ大人一人旅であっても)ぜひとも見てほしい景色です。
鰊御殿と観光ホテル

日本海に突き出た岬の丘の上に建っているのは「日和山灯台」と「小樽市鰊御殿」です。
かつて北海道沿岸では 空前のニシン漁ブーム が湧き起こり、莫大な富を築いた網元たちは豪華な邸宅――通称「鰊御殿」を次々に建てました。獲れたニシンは北前船で本州へと運ばれ、綿花などの栽培を支える最高級の肥料として利用されたのです。
ところが昭和初期になると漁獲量が激減。ニシン漁は一気に衰退してしまいました。

反対の内陸側に目を向けると、断崖の上に荘厳なホテルが見えました。1965年(昭和40年)に「ホテル展望閣」として開業し、現在も「ホテルノイシュロス小樽」として営業を続けている建物です。
最上階の回転展望レストランはいかにも 昭和の観光ホテル らしい趣ですが、現在はスイートルームとして使われているそうです。

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幻のオタモイ遊園地

現在小樽市内で唯一の遊園地である「祝津マリンランド」ですが、そこから西へ約5kmの場所には、かつて「オタモイ遊園地」が存在しました。
高級料亭「龍宮閣」を中核として、演芸場、海水浴場、遊具などを備えており、戦前には北海道随一のリゾート施設 として高い人気を誇ります。しかし、1952年(昭和27年)に「龍宮閣」が火災により焼失すると、そのまま閉鎖。今ではわずかな遺構を残すのみです。
小樽港から新潟行きの新日本海フェリーに乗り込み、夕刻 16:45に港を発ちます。
しばらくして進行方向左手を眺めると、先ほどの観覧車が見えました。北の果ての僻地にぽつんと佇む観覧車は、なんとも物寂しい風景ですが、かつて北前船が行き交っていた時代は、この場所こそが流通と経済のメインストリートでした。

観覧車から西へ海岸線を辿っていくと、かつての「オタモイ遊園地」の跡地になります。断崖絶壁に高級料亭が建ち、戦前に多くの人々がレジャーを楽しんでいたとは、にわかに信じがたいです。
船がエンジンの音を響かせて速度を上げるにつれ、遠ざかる観覧車の姿も少しずつ夕暮れの景色へと溶け込んでいきました。
訪問日 2026年8月
アクセス・宿泊
HP:公式サイト
交通:中央バス「水族館」バス停。
運営:株式会社おたる水族館公社
