香川県高松市にある宮脇書店総本店(カルチャースペース)。そこにはかつて、全国で唯一の「本屋さんの観覧車」がありました。
臨海工業地帯に突如現れる 観覧車

神戸から高松を結ぶジャンボフェリー。瀬戸内海の美しい島々を眺めながら、船はゆっくりと高松港フェリーターミナルに入港しました。
埠頭には倉庫や工場が並び、その合間をトレーラーや大型トラックが行き交います。まるで一般客を寄せ付けないような、無機質で物寂しいエリアです。
しかし、そんな商業やレジャーとは無縁そうな工業地帯の真っただ中に、ぽつんと観覧車が姿を現しました。
本屋の屋上観覧車

この観覧車は、「宮脇書店総本店(カルチャースペース)」という大型書店の屋上にありました。
宮脇書店とは、全国に店舗網を拡げている香川県発祥の巨大ブックチェーン。その総本店として、2004年(平成16年)に本社機能と展示施設(後に書籍売り場へ改装)が一体となった複合施設がオープンしました。
2006年(平成18年)には、高さ41.5mの観覧車「ぶっくるりん」が造られます。

裏側に回ってみると、実は観覧車そのものは建物本体とは違う場所に立っていることがわかります。
建物本体の建設時には、屋上観覧車を造ることは想定されていませんでした。そこで、わざわざ観覧車専用の鉄骨土台を隣接して組み上げ、その上に観覧車を建設したのです。
こうして、世界的に見ても珍しい “本屋さんの屋上観覧車” が誕生しました。
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2019年 営業終了 / 2026年 解体

施設のランドマークとして親しまれてきた「ぶっくるりん」でしたが、2019年5月に営業を終了します。前年の台風被害による故障の発生、塩害による老朽化やメンテナンス費用の増大から、もはや継続は困難だったのです。
しかし営業が終了してからも、しばらくの間は筐体は撤去されず、回らない観覧車がそのまま残りました。

私が現地を訪れたのは2025年の8月でしたが、それからわずか数か月後の2026年1月に解体されます。あの時は、まさかこれが姿となるとは思いもしませんでした。

数ある遊園地のアトラクションの中でも、観覧車は特別な存在。遠くからも一目でわかる視認性の高さから、施設のランドマークやショッピングモールの広告塔としても重宝されています。
しかしながら、本屋さんに観覧車が造られたのは、全国を見渡してもここだけです。夏の空に「本」を掲げるその姿は、どこか愛らしく、誇らしげに見えました。
それにしても、近年は全国的に書店が減少している中で、地方にこれほどの巨大書店があるのは、なんともわくわくさせられます。観覧車は姿を消しましたが、「かつて観覧車があった書店」は今後も語り継がれることでしょう。
訪問日 2025年8月
アクセス・宿泊
HP:公式サイト
交通:JR高松駅から車で約10分。
